両リーグの記録を合算しないのは、リーグの独自性を守るため。プロ野球の発展のためには、両リーグが独自性、独立性を保つことは非常に重要。そして日米ともに両リーグは異なる「文化」もはぐくんできた。
ただ、近年の日米プロ野球界は、大きく変わってきていることも事実だ。
MLBでは、1997年にインターリーグが導入された。
これはFAをめぐる長期のストライキなどで、野球人気が凋落したことへの危機感が背景にある。
さらに、北米四大スポーツと言われる強豪スポーツの隆盛も脅威になっていた。
MLBを除く四大スポーツ(NFL、NBA、NHL)は、インターカンファレンスゲームを導入し、人気を博していた。

両リーグが分立して97年目にして誠に遅ればせながら、MLBはインターリーグを導入した。観客動員は増加し、興行的には成功した。
従来のリーグ戦とは異なるカードが増えることで新鮮な印象を与えたことが大きい。特に同一都市、同一地区のチームによる「ダービー」「地下鉄シリーズ」は人気を呼んだ。

しかしながらインターリーグを導入しても、両リーグの成績は合算しなかった。インターリーグの試合数が15試合(のち20試合)と限定的であり、リーグの独自性が揺らぐとは考えられていない。

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MLBはエクスパンションによって、2地区、さらには3地区に分かれた。同一地区と他地区では試合数が異なる。インターリーグがはじまって、こういう「地区」とリーグは、記録の合算をしない以外は、実質的な差異がなくなっている。

1999年を最後に、ア・ナ両リーグはリーグトップである会長職を廃止している。両リーグはMLBコミッショナーに直接統治されるようになったのだ。

またMLBの公式サイトでは、AL、NLに加えMLBトータルでのランキングも表示している。
代表的な記録サイト、Baseball ReferenceではAL,NL、MLBのほか、マイナーやNPBとのトータルの数字も表示するようになった。

2012年まではインターリーグは6月に集中的に行われていたが、両リーグの球団数が15ずつとなった2013年以降は、シーズンを通して実施されるようになった。リーグが異なるチームの対戦が日常的に行われるようになったのだ。

MLBを取り巻く状況が変化する中で、リーグの垣根は低くなっているのは間違いない。
しかしながら、両リーグの成績を公式に合算しようという動きはない。そのメリットは全くないし、歴史的にも妥当性がないからだ。

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NPBでも21世紀に入って、リーグの根幹を揺るがす事件が起こった。
2004年の「球界再編」だ。一部経営者が、近鉄、ロッテをパの他の球団と合併させて1リーグ10球団にする動きを見せたのだ。
当然、そうなれば、両リーグの記録は合算される。
1リーグ構想は、セが長く維持してきた巨人戦放映権を中心にするビジネスモデルを、NPB全体に敷衍させる意図を持っていたが、サッカーなど他のスポーツが台頭し、視聴率が下落するなか、時代感覚のない愚かなプランだった。
言い出しっぺではなかったが、己が虚栄心を満たすために、ナショナルパスタイムを私しようとしてこのプランに賛同した渡辺恒雄は、同じ讀賣の独裁者正力松太郎と比べてもはるかに愚劣だと言えるだろう。

選手会のストライキをファンが支持し、楽天球団の新規参入もあって、この愚かなプランが実施されることはなかったが、2005年から交流戦が行われるようになった。

MLBのインターリーグと異なるのは、他のリーグとの総当たり戦であること。
現在、MLBは162試合のうちインターリーグは20試合、対戦しないチームもある。
NPBはあいてリーグの6球団と必ず当たる。NPBは発足当初の2005年は136試合中36試合が交流戦だったが、今は143試合中18試合が交流戦。MLBのインターリーグとほぼ同じ比率に収まった。

NPBでもセ・パ両リーグの事務所はなくなり、会長も廃止された。かつてはリーグで別組織だった審判部もNPBで統一された。

NPBでもセ・パ両リーグの垣根は確実に低くなっている。

セとパは、メディアへの対応で大きな差がある。セはいまだに「取材させてやる」という姿勢の球団が多いが、パは非常に強力的だ。しかしセにもまともな対応のチームが増えているのも事実だ。
マーケティングを基本としてマネジメントを推進するパの影響だと思う。

しかし、垣根が低くなっても両リーグが統合されることは、あり得ないだろう。
そのメリットが、ないからだ。
ポストシーズンの充実、オールスターゲーム、二つのリーグの対比、そして交流戦も。2リーグ制あればこそプロ野球の興趣は深まる。

それを考えれば、記録の合算は「試算」「参考」の域を出ることは今後もないと言えるだろう。

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2004年岩瀬仁紀、全登板成績


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