太陽が薄い雲に隠れて、背中の方からゆるめの扇風機のような風が吹いてき始めた午後5時過ぎ、米子松蔭と大阪桐蔭の第4試合が始まった。

外野席は1試合目のすし詰め状態から、じょじょに隙間ができるようになったが、第4試合前にかなりの人が入ってきた。
入場制限を解いたのだろう。
なかに「大阪桐蔭」と書いたキャップを被った小学生がいる。校歌を立ち上がって聞いている。横にいた母親は「お金がかかるのに、あんなとこ行く気かしら」と気が気ではなかっただろう。

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事前に予想された通りではあったが、この日の大阪桐蔭は一瞬たりとも「危ない」と思わせる時間はなかった。
その上で、相手の米子松蔭にも十分に野球をさせていた。
みっともないほど点を取って、敵味方ともにしらけさせるような試合ではなかった。
そういう意味では「横綱相撲」と言えよう。

大阪桐蔭の先発は徳山。米子松蔭の打者は手も足も出ない。捕手福井は、自在に配球して、あっという間にチェンジ。
5回途中まで、完全。
ひょっとしたら、とおもった刹那に二塁に微妙な当りが飛んで、二塁手坂之下が内野安打にする。

大阪桐蔭の西谷監督は、守備の時間にはベンチの端から体を乗り出す。あの、人工衛星からでもそれと判別がつきそうな、特徴的な四角い体を、投手に全面的に見せつけている。
外野席からはそれが良く分かった。
サインを出している気配はない。投手に安心感を与え、精神を安定させているのだろう。
プロのスカウトから「西谷君は大したものだ」という声を度々聴くが、こういう部分もその一つだろう。

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打者はそれほど当たっていなかったが、福井は本塁打1本、二塁打2本、捕手だが足が速いのが目立った。
プロ注目の根尾は、右翼で先発し、三塁、右翼と忙しかったが、第一打席、ギュイーンと音がしそうな二塁打を放つ。この選手の野球はもう高校生ではない、足もすごい。
根尾は、投手としても注目されている。来年のドラフトの目玉だろう。

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大阪桐蔭の吹奏楽部は、まだ12年目だが、全国トップクラスの実力だ。
他校の応援とは別格の演奏をしている。
2014年にはオリックスのクライマックスシリーズのオープニングでも演奏したが、プロ級の実力だ。
おそらく、甲子園で演奏しているのは「二軍」の部員だと思うが、50万円以上、100万円ともいわれるスーザフォン8門から発せられる音楽は、100m以上離れた外野席にもすごい迫力で聞こえてくる。

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5番2年生山田健太の打順では、なぜか「ウィリアムテル序曲」が演奏されるが、コンサートホールで聴くようなグレードだった。
応援団の統率のとれた応援も格が違うと思わせる。

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彼らの楽器は専用のトラックで運搬される。もう、プロ楽団なみだ。

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千葉県の習志野高校など伝統高ではあることだが、定期演奏会のCDが発売されている。



大阪桐蔭は、偏差値もどんどん上位に食い込んできている。東大、京大への合格実績も上がっている。
金をかけて、良い人材を集め、実績をあげてさらに良い人材を集める。私学のビジネスモデルを体現するトップランナーだ。

試合終了後、風に乗って「大阪桐蔭の生徒さん、関係者は、場内清掃にとりかかってください」という声が聞こえてきた。

勝ち組、ということになろうか。少子化の中で、日本にはこういうスーパー私立高校も生まれているのだ。

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2004年岩瀬仁紀、全登板成績


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