人間ピラミッドや部活動の問題について発言している、名古屋大学の内田良准教授が、部活の今後について思い切った提言をしている。

部活動の全国大会は、もう廃止してしまったほうがいい
内田准教授は、ブラックと言われる中学、高校の部活動改革の眼目とされる外部指導者の導入について、
「外部指導者は教員と比べて、より多くの時間、より多くの日数、練習をしたがる」傾向があることを紹介、「部活の未来図」を考えるうえで根本的な解決は別にあるとする。

それは「部活動時間の総量規制」であり、そのための「全国大会の廃止」だ。
内田氏はここまで言い切る。
「できれば全国大会の主催者側には、部活動経由での全国大会を廃止するという英断を求めたい」
内田氏によれば、部活の目的は
「生徒にスポーツや文化活動の機会を低額で保障」することであり、
「全国レベルのトップアスリートやプロを目指す場合には、民間のクラブチームに所属するような制度設計を考えるべき」と主張する。

いわば欧米型のスポーツとのかかわり方に転換すべきだということだ。
本来は「楽しむため」「教養、経験を深めるため」に存在する学校の部活が、勝利至上主義によってゆがめられている現実を是正するために、必要だという。

理想主義的な気もするが、全面的に賛成だ。学校は「スポーツや音楽、芸術をちょっとたのしむもの」、本気でやりたければプロの指導者に個別に教わる。
そうなれば、365日スポーツ漬けの生徒や、家族とほとんど一緒に生活できない教員はいなくなる。
そして、行き過ぎた指導もなくなる。

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その考え方で行けば「甲子園」も、今の形を全面的に見直すべきだろう。

高校の部活は、せいぜい市町村単位の大会を最高のステージとして、楽しむ範囲で行う。勝利至上主義ではなく、野球の楽しさを教えるレベルだ。

甲子園には、各地のクラブチームの代表が出場する。クラブチームの練習は土、日中心。別途束脩や謝礼が必要だが、クラブチームは地域企業のスポンサードなども受ける。NPBなどの支援があっても良い。学校とは関係ないのだから、商業主義の導入も問題ない。
今でも甲子園に行くような選手の父母の負担が大きいが、クラブチームになってさらに大きな出費になるとは考えにくい。
これらのクラブチームがサッカーのJリーグなどの傘下であっても良いと思う。
部活とクラブチームの掛け持ちは妨げない。また、他のスポーツとの掛け持ちも問題ない。

「虎の穴」のような、硬直した師弟関係をなくすためにも、選手のステイタスを緩やかにすべきだろう。
さらに言えば昔の「法王庁」のような高野連や高体連も解散すべきだろう。

高校球児は、野球競技人口のコアであるシリアスプレイヤーの中では最大勢力だ。
この改革は、一時的に高校硬式野球の競技人口を減らすことになるが、若者が末永く野球に親しんでもらうためには、有効な改革だと思う。

これで決定とは言わないが、こういう選択肢も含めて議論すべきだ。

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