昨日、いろんな方からご指摘をいただいて菊池雄星の投球フォームの変化をYoutubeで見た。うーんと唸ってしまった。
菊池のフォームは確かに4月から変化している。私が見るところ、6月21日の投球から一連の動作の中で右足を一度止めてから動かしているように見えた。これを見て、審判団が「右足に段ができている」というのもわかった。

しかしながら、これが「アウト」なのかどうかは、私には判断がつきかねる。

第一に「段ができる=一度止めてから動かしている」の客観的な基準が示されていないからだ。
菊池の投球フォームを追いかけた動画は、ファインプレーというべき素晴らしいものだが、スローモーションになっていた。菊池の右足に「段ができている」ことがはっきり分かった。しかし、実際にはその動きは一瞬のものだ。これが許容範囲を逸脱しているのかどうかは、足のどの部分がどう動けばアウトとか、そういう基準がなければわからない。
投球フォームは「一連の動きの中で」なら、二段モーションとは見なされないという基準がある。菊池のフォームは「一連の動き」でないという判断は、審判団の主観の域を出ないのではないか。

第二に他の投手はどうなのか、という問題だ。
古い話をして恐縮だが、私は故小林繁を思い出す。アンダーに近いサイドの小林は、一度体をぐっと沈めてから静止し(たようにみえ)、そこから球を投げ込んだ。静止時間は結構長かったように思う。今なら二段モーションだろうとよく言われる。
それから岩隈久志。彼の場合、体を起こした瞬間にはっきり静止した(ように見える)瞬間があり、ここから投げる動作に移った。
現役では涌井秀章も二段モーションの疑いがある。さらに中田賢一も左足を上げてタメを作るときに止まっているように見える。これらは菊池の足の使い方とは異なるが、やはり二段モーションと見ることも可能だろう。
日本ハムの井口和朋も不正投球とされたが、彼の足の上げ方と涌井や中田の足の上げ方の「差」は何なのか?

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菊池は同じ左腕のクレイトン・カーショウのフォームを手本にしているとされる。カーショウは右足をぐいっとまげてから投げる。右足は少し横に動くように見えて、ここから剛球が投げ込まれる。
カーショウは浮かした右足でタイミングを取っている。それは打者に微妙な「ずれ」を感じさせる効果もある。まさに「二段モーション」の効能だ。

菊池はコーチと相談して5月から左足の動きを意識して変えていたようだ。審判はこの変化を最初から危惧していたのだろう。

菊池の変化は、審判団の共通認識としての「二段モーション」に抵触する可能性がある。しかも菊池の投球フォームの逸脱は、投げるたびにエスカレートしているように見える。
菊池のようなエース級の投手のフォームが、こういう方向に変化するのは、他の投手への影響を考えても問題だ、どこかで歯止めをかけねば。

という経緯があったのだと思う。それは理解できるが、それでも審判部の一連の行動には問題があると思う。

長くなるので稿を改める。



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