不正投球問題について、もう一度整理しておこう。この問題は立場を変えると違った事情が見えてくる。
まず、審判側は、彼らは試合の主宰者、ペナントレースを円滑に運営する責任者、そして野球ルールの管理者として、常に公平、公正で円滑なルール運用を考えている。
菊池の件で彼らが示した懸念は、菊池のフォームが「不正投球」の領域に入りつつあるということ。これを看過すると、フォームの逸脱はさらにひどくなる懸念があったこと。
そこで菊池と球団には、シーズン前も、シーズン後も注意喚起、警告、指導を行っていたが、菊池のフォームに改善が見られないため、不正投球を取るに至った。
後ほど分かった情報では、他の投手にも同様の警告を与えていたとのこと。そういうキャンペーンをしていたのだろう。

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次に菊池雄星、西武の立場。菊池は、MLBに挑戦の意向を表明し、今季何としてもキャリアハイの記録を残すべくトレーニングをし、フォームも改善した。右足の上げ方を変えることで投球が改善すると思われたので、5月からフォームを変えた。それが不正投球とみなされた。
西武、菊池は審判部の警告を複数回受けていたが、フォームは改善されなかった。審判部の指摘を球団、菊池がどのように受け止めたのかは不明だが、彼らは「他の選手はどうなのか?」という異論を唱えた。
西武側はNPBに「意見書」を提出した。これが明らかになれば、西武、菊池側の言い分もわかるはずだ。
西武側が知っていて警告を無視したとか、ごねているとか、いろいろ言われているが、昔の巨人はいざ知らず、今のNPB球団にそういう文化はないはずだ。何らかの主張がされると思う。

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さらにファン、観客の立場に立てば、8月17日、菊池はいきなり「イリーガルピッチ」を宣せられた。この際に場内には「不正投球があった」との説明があったのみ。
次の登板でも菊池は不正投球を取られ、そのせいもあったか菊池は大きく崩れて敗退した。
試合の時点では、何の説明もなかった。
その後の報道で、審判部が菊池や他の投手に何度も注意をしていたこと、などが報じられたが、結局、菊池の投球の何が問題なのか、それは具体的にどの部分なのか、どこまでいけばアウトなのか、などは明らかにされていない。

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不正投球に関する問題は、専門性が高いが、それでも観客の目の前で適用されるルールだ。内部事情ではない。
観客は、この内容について知る権利がある。
審判部は、菊池や日本ハムの井口に下した「不正投球」のジャッジが正当なものであり、疑念を招くようなものではないことを、メディアを通じて説明しなければならない。
また、この判断が菊池や井口などをピンポイントで狙った「ネズミ捕りの取り締まり」的なものではなく、NPBの全投手(二軍も含め)を対象にした広汎なものであることを宣言しなければならない。

今回の「二段モーション」が、本当に打者を惑乱するような有害なものなのか、それとも大勢に全く影響のない「形式犯」にとどまるのか、さらにはこういう投球動作を全く取り締まっていないMLBとの相違はどう考えるべきものなのか、という議論は、すべてが明らかになってから行うべきだろう。

審判部、NPBの詳細な説明と、西武の意見書が公表されてから、議論を深めるべきだ。
うやむやに終わらせてはならない。




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