巨人の山口に対する処分の妥当性を考えるうえでのポイントは「公平性」だ。

飲酒の上での暴力は、いわば粗暴犯だ。再発の恐れはあるが、野球賭博のような深刻な背景があるわけではなく、因果関係ははっきりしている。責任はすべて本人にある。
球団への報告が1週間も遅れ、その間本人は素知らぬ顔で練習に参加していた。悪質性はあると言えるが、初犯であり、書類送検されたが不起訴処分ともなった。示談も成立した。

巨人が、彼を今季の無期限停止処分にしたのは妥当性があったと思う。反社会行為について、どのような処分をするかは球団にゆだねられている。
罰則の軽重を度外視すれば、この不祥事を理由に山口俊との契約を解除することもあってよいと思う。野球賭博などの不祥事が起きる中、組織を粛正する意味も込めて、厳しい処分をすることが明るみに出れば、巨人選手の規律は一挙に高まるかもしれない。
そこまでは、球団の判断として理解できなくもない。

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問題は、この不祥事を種として、球団が「クビ」をちらつかせながら、山口に年俸契約の見直しを迫ったことである。
FA移籍した山口だが、故障がちで高いパフォーマンスが期待できないことが明らかになった。そこへたまたま不祥事が明らかになったので、強い調子で年俸の大幅減額と、契約の見直しを迫った。いわば「足元を見て」強い調子でネゴシエーションをしたのである。

山口の選手としての価値を見誤ったのは巨人のフロントだったが、たまたま起こった不祥事に付け込んで自分たちの失敗を取り繕おうとしたのだ。これは公平かつ公正な処分だと言えるだろうか。

この処分が明らかになった時にも言ったが、同様の不祥事を菅野智之や坂本勇人が起こした時にも、同様の処分をするだろうか?
以降のシーズン出場停止はともかく、年俸の大幅減額を菅野や坂本に迫るだろうか?

選手会が言うように、この処分が選手の権利としての「FA権」にまで及んでいるのも問題だが、それ以上に「公平性」にも問題があるのではないか。

この種の不祥事が、巨人のスター選手に起これば、従来の巨人であれば、まず事件のもみ消しを図るのではないか。2000年、松坂大輔が駐車違反の切符を着られたときの西武の対応を見てもわかるように、日本の球団は身内をかばう傾向が強い。
隠しきれないとなれば処分するだろうが、恐らく選手の将来に禍根を残しそうな苛烈な処分はしないのではないか。
酒を飲んで暴れたからと言って、数億円もの減俸はありえないのではないか。

山口は生え抜きでなく、スター選手とも言い難く、今後の活躍にも疑問符が付く。だから不祥事を奇貨として、この際大幅に値切ってやろう。それでも活躍したらもうけものだ。
そういうさもしい計算が働いたのではないか?

「罪と罰」の基準は、会社でもどんな組織でも「不公平」が大原則だ。
落ち目の外様だから、ふんだくるだけふんだくる、では「球界の紳士」の名前が泣く。外聞も悪い。そういう部分で理性が働かないのは、昔からの巨人の悪いところだ。

巨人が山口の例を端緒として、不祥事に対して、どの選手によらず出場停止処分+大幅減俸を科す。FA権も見直すというのなら、明言してほしい。



夢の裏バットマンレース(後半戦)


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