西武時代はたいして注目していなかったが、レッドソックスに移籍してからの松坂大輔は気になる存在だった。A-RODやゲイリー・シェフィールド、イチローなどの打者に勝負を挑む姿が華々しく、面白かったからだ。
2年目までの松坂は、大打者との勝負を楽しんでいるような印象があった。
しかし、3年目以降、とりわけトミー・ジョン手術を受けた2011年以降は、速球の勢いがなくなり、カーブを主体としたかわす投球になった。寂しい限りだった。

この頃、松坂について言われたのは「躍動感がなくなった」ということだ。

高校時代から大スターだった松坂は、打者を見下ろすようにして投げ込んだ。投げた後、マウンドで弾むように伸びあがるのが常だった。そういうのを「躍動感」というのだろう。
全身のパワーを腕から指先に伝えボールに込めた後、その反動が体に伝わって伸びあがるような動作につながるのだと思う。

言い方を変えれば「躍動感」は、「勢いあまって」見せる動作だろうか、

確かに下り坂になってからの松坂は、フィニッシュの後どたっとマウンドに足を着くようになった。カラダが重くなったこともあるだろうが、パワーがうまくボールに載らなくなったからでもあろう。

この夏、私は菊池雄星のマウンドを見た。「二段モーション」でイリーガルピッチを取られた日だったが、このときの菊池も躍動感にあふれていた。
私はそれを何とか写真に撮りたいと思った。こんな感じだ。

kikuchi-20170817


松坂の場合「躍動感」は、体が伸びあがる感じになるが、菊池は左腕が体に巻き付くところが「勢い余って」だ。リリースの後は左足にパワーが抜けていく。

なかなか写真にするには難しいが、勢いがお分かりいただけるだろうか。

今、「躍動感」がすごいのは、松井裕樹だ。
こないだ、富山でみたときは、大谷翔平にタイムリーを打たれたが、勢い余ってから足を踏むような動きには若さがあふれ出ていた。

Matsui-20170817


こっちはわかりやすい、伸びあがったままどっかへ行ってしまうのか、という勢いだ。
松井は球速は150km/hいくかいかないか、大したことはないのだが、球の切れが凄い。

おそらくはボールにパワーがうまく乗っているのだろう。「躍動感」のあるフォームがその源泉だろう。

投手のこういう姿を見るのも野球の楽しみだ。「躍動感」は力で押せる若いうちだけのものだろうが、こういうのも目に焼き付けておきたい。


夢の裏バットマンレース(後半戦)


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