阪神の掛布雅之二軍監督の退任は、金本知憲監督の意向によるものだという。その内情を伝える記事が出た。

掛布と金本は、同じ阪神の主軸を打った強打者ではあるが、その経歴には大きな隔たりがある。掛布が13歳の年長。

高卒でテスト生同然に阪神に入団した掛布は、20歳そこそこで頭角を現し、ミスタータイガースとして絶大な人気を得る。1985年の球史に残る優勝でも主軸打者として活躍するが、小さな体を酷使した挙句に腰を痛め33歳で引退している。
大卒で広島に入団した金本は中軸打者に成長すると、FAで大型年俸とともに阪神に移籍、NPBでも最も成功したFA選手として阪神に貢献。2度の優勝も経験。晩年は連続試合出場記録を伸ばすために無理をしたきらいはあったが、44歳まで現役を続けた。

高卒と大卒、生え抜きとFA移籍、30代半ばの引退と、40代半ばでの引退。掛布がファンの記憶に残る選手だとすると、金本は記録に残る選手だろう。

阪神での実績は、掛布が1656安打349本塁打1019打点。金本が1360安打232本塁打813打点。

金本が掛布に期待したのは、若いころの掛布がそうしたように、若手にハードワークをさせて底上げを図ることだった。
ここ2年の若手の成長は、掛布二軍監督によるところが大きい。それは金本監督も認めているようだが、同時に「選手の自主性、自発性」を大事にする掛布に、金本は物足りないものも感じていたという。

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どんなことをしてでも結果を出して、何が何でも収穫に結びつけてきた金本には、掛布のやり方は手ぬるく感じた。しかし年長で、阪神でのキャリアも上の掛布には強くモノが言えない。
それもあって、金本は掛布を疎ましく思い、退任を迫ったのだろう。

今回の報道で、金本知憲という野球人の本質が見えたのが興味深い。
金本は、選手に「結果」を求めるのだ。そのためにハードワークをさせる。自発的か強制的かは問わず、ハードに練習をしてその結果として数字を残す選手を使うのだ。
就任以来2シーズン、金本は多くの選手を使ってきたが、常に「結果」がでているときだけ重用し、落ち目になるとすぐに使わなくなる。安物のガムのように、味があるうちだけ噛んで、なくなるとぽいと捨てることを繰り返している。外国人選手や若手選手に対する使い方はまさにガムのようだし、藤浪晋太郎に対してもそうだ。

監督、選手相互の信頼関係を築いたり、将来性を信じて選手を起用したりはしない。常に「時価」が高い選手だけを使う。

金本監督に対し、私はその就任時から非常に嫌なものを感じていた。一つにはこの人物に黒いうわさが絶えなかったからではあるが、もう一つは「身もフタもない成果主義」の臭いを感じたからだった。
金本の考えでは、チームが勝てないのは「采配」「教育」「育成」の問題ではなく、すべて「結果を出さない選手が悪い」ということなのだろう。

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掛布という「緩衝帯」を失った阪神二軍には、金本の意を受けた鬼軍曹が着任するだろう。そして二軍でも「結果論」が幅を利かすことだろう。殺伐としたものである。

ここ4年の二軍での働きを見て、私は掛布に一度は一軍の監督をさせてみたいと思った。強いチームは作らないだろうが、将来、次の監督に向けて大きな伸びしろのある若木をたくさん育てるのではないか。

球団は掛布をフロント入りさせたい意向だそうだが、早晩破たんするであろう金本体制の後に、掛布の名前があげればいいなと思っている。




夢の裏バットマンレース(後半戦)


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