毎日新聞が7月12日付で「高校野球新世紀」という連載を始めた。1部はすでに終わって9月12日からは2部が始まっている。全国紙にしては意欲的な企画だと思ったが、今のところ期待を裏切る内容だ。
1部では、高知県梼原町で、高校の硬式野球部を創設し町ぐるみで支援することで入学者数が増え、廃坑の危機をまぬかれたことが紹介されている。
さらに、小、中、高と学校が変わるたびに野球部員数が減る原因を調べたデータから、「好きだけれども野球をやめる」子供が多いこと、勉強との両立が課題になっていること、「次は他のスポーツをやりたい」子が多いことなどを取り上げている。
さらに、園児向けの普及活動が始まっていること、怪我のリスク、さらにティーボールの普及活動などが取り上げられ、最後はプロ、アマ合同での「日本野球協議会」が立ち上げられ、野球離れ対策が進んでいることも紹介されている。

目新しいのは梼原町の話程度だった。「野球人口の激減」を取り上げたのは画期的ではあったが、総花的にエピソードを紹介しただけ。中身の薄い連載だった。

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「野球人口の減少」の枕詞に「少子化」「過疎化」をつけている時点で、今起こっていることの本質を本腰を入れて調べよう、世間に知らしめようという気がないことは明らかだ。

記事はあたかも「他人事」のように書かれているが、高校野球をここまで巨大な「事業」にしたのは、朝日新聞と毎日新聞だ。今の高校野球の体質は、新聞社が派手派手しく持ち上げる中で醸成されたものだ。
昨日も述べたが、そうした圧倒的な「成功体験」が、高校野球を硬直化させ、時代遅れなものにしている。
その本質に触れることなく、枝葉末節をつまみ食いするだけで「高校野球の問題点」を紹介した気になっている。
「こんな高校野球に誰がした」が一切紹介されていない。典型的な「サラリーマン記事」だ。がっかりする。

先日始まった2部では「親の負担」「沖縄が人材供給源」という内容になっている。この調子で、いろんなエピソードの上っ面を手際よくまとめて、「高校野球の危機」を紹介したつもりになる気だろう。

少し掘り下げて話を聞けば「なぜ、高校野球は今、嫌われているのか」「甲子園の美談の蔭に何が隠れているのか」など、様々な問題点が浮き彫りになるはずだ。
しかしそうなれば「高校野球をこんなものにしたのは誰か?」が問われる。主催者たる新聞社の責任まで及びかねない。

自分たちが責任を問われそうな「やばいこと」は、慎重に取り除いて「野球界は心配ですね、私たちも気をもんでいるんですよ」というふりをするだけの記事にまとめたということだ。何ほどの意味があるのか?そういう記事を書いても、本質は何も変わらないだろう。

難しい試験をパスして新聞社に入り、嬉しそうにPRESSの腕章をつけて、会社の金であちこちに行って話を聞いている記者各位に申し上げる。
そういう特別待遇を受けて書く記事がこれか?こんな記事なら、書かない方がマシだ。これは「お知らせ」だ。ジャーナリズムとは言えない。

本当に高校野球の将来について考えているのなら「不都合な真実」をしっかり書いてほしい。上につぶされようとも、少なくともそういう取材をして、爪痕を残す努力してほしい。



夢の裏バットマンレース(後半戦)


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