朝日新聞

野球の軟式球が12年ぶりに変わる。全日本軟式連盟と野球ボール工業会は、現在の球より低く弾み、硬式球に近い感覚でプレーできる新公認球を発表した。主な狙いは、中学生の高校硬式野球へのスムーズな移行と、硬球がメインの海外への普及だ。
NHKでは、この軟式球の仕様変更を「野球離れ対策」として報道していた。
軟式球が変わることが、なぜ「野球離れ」を食い止める一助になるのか、全く理解できない。

この改変は「硬球と、軟球の"段差"を小さくする」のが目的だ。
中学まで軟式で野球をしてきた子供が、高校で野球をしなくなっている。その一因に「ボールの違い」がある。この差を埋めて、軟式野球部から硬式野球部へ移行しやすくするのだという。

この8月、メットライフドームでは、中学のボーイズで硬式で野球をしている子供が、軟式野球をしている小学生を指導するイベントがあった。ボーイズでも軟式と硬式の「段差」が問題になっているようだ。

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確かにそういう一面はあるが、一方で軟式野球をしている子供にとって、プロ野球選手と同じ「硬球」を使って野球をすることは「憧れ」でもある。多少の違いはあっても、それを乗り越えるのは困難とまでは言えないと思うが。

軟式で野球をしていた子ども、少年が硬式野球に進まないのは、ボールの問題より、他の問題が大きいのではないか。
一つは「今度は野球以外のスポーツがしたい」という願望。昔と違って「野球しかない」と考える子供はもう少数派だろう。
さらに「野球のきつい練習や規律はいやだ」という意識。ずいぶん改善されたが、今でも「マフィアが野球を教えている」という部分は完全には払しょくされていない。ほとんどの部活はいまだに丸坊主だし、旧態依然とした規律は色濃く残っている。

不思議に思うのは、軟式野球連盟は、高校でも軟式野球の普及をしたいと思わないことだ。高校にも、大学、社会人にも軟式野球のチームはある。そちらの普及ではなく、硬式野球の普及に手を貸す意味がよくわからない。
「軟球は中学まで」というふうに棲み分けを図るつもりだろうか?

「軟式球の改訂」は、「野球離れ」を食い止めることにはあまり寄与しないだろう。

むしろ、軟式球がより硬式球に使用感が近くなり、硬く、重たくなることは、それまで「野球遊び」をしていた子供が、軟式野球へ進むうえでの「段差」を大きくするのではないか。「野球離れ」を食い止めるどころか、促進してしまう可能性もあろう。

「野球離れ」で最も深刻なのは、幼児、子ども層だ。こうした子供たちが「野球を知らない、野球をしたがらない」ようになって、すそ野がどんどん減っているのだ。

その問題に対して、野球界が力を合わせるべきなのに、的外れな「対策」が報道されるのは残念だ。
例によってメディアは、批評も評価もせず、よそ事のように扱っている。
メディアのダメさ加減も含め、「これではだめだ」と思わせるニュースではあった。

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