選手が球団を"逆面接"するというのも不思議だが、各球団の対応は体質を表していて、興味深かった。


日刊スポーツから 順番はわからない。

DeNA。早実・清宮は「球界屈指の大砲」筒香の名を挙げ、進化の過程を質問した。出席したDeNA吉田孝司スカウト部長は「筒香がどういう風にして、ああいう風になったんですかと聞かれた」と明らかにした。

西武は渡辺SDら4人が出席した。門外不出の「新人プログラム」で、育成の西武をアピールした。秋山、清原、中村ら、伝統的に高卒の大砲の育成に成功している。清宮に資料を提示し、レジェンドたちの成長過程を説明した。父克幸氏からは、老朽化した施設面の改善などについて聞かれた。

楽天は長島スカウト部長ら3人が出席した。清宮からは施設や環境について聞かれたという。「天然芝いいですね、という話も出た。球場とか環境は良く思ってくれているのかな」

阪神は佐野アマスカウト統括、畑山チーフスカウト、永吉ディレクターの3人が出席。佐野アマスカウト統括は「1位で指名させていただきます、とお伝えしました」

巨人はこの日、面談した球団では唯一、球団幹部として石井球団社長も同席し、鹿取GM、岡崎スカウト部長、福王東日本統括スカウトとともに逸材と対面した。岡崎スカウト部長は「清宮選手を巨人としては高く評価していると伝えました」と明かした。

ソフトバンクは小川一夫育成・編成部長兼スカウト室長らが清宮と面談を行った。60億円を投資し、昨年完成した福岡・筑後市のファーム施設を説明したパンフレットを手渡した。また、iPad(アイパッド)を使って、選手の動画などが即再生される球団独自のアプリも見せた。ポスティングについては従来通り認めるつもりはない。

オリックスは12球団で最初に面談。現地から報告を受けた長村球団本部長は、「育成や環境面について聞いていただき、誠意をもってお答えした」と説明。野手でトップクラスの評価は変わらないが、ドラフト当日に指名するかは微妙。「ポスティングとかの話はなかった。ドラフトまでの戦略をしっかり立てていきたい」と強調した。

ヤクルトは橿渕スカウト部デスクらが、育成に対する考えや練習環境などを説明。神宮はプレーしているからわかると思うので、戸田の二軍施設を説明した。将来のポスティング行使に関して「(質問があれば)『過去の歴史を見ていただけたら』と説明するつもりでした」と語った。父・克幸氏からは「東京五輪のときは神宮球場はどうなるのですか」という質問も受けた。

中日が登場。中田スカウト部長は「どうしても必要な選手。清宮君に対する思い、必要な選手であるということを伝えました」と熱烈ラブコール。

最後の10番手ロッテは、永野チーフスカウトと諸積スカウトが出席。清宮用に作った冊子を渡し、福浦、今江、西岡ら高卒野手の育成実績を話したという。永野チーフスカウトは「うちとしては、長年ホームランバッターが出ていないので、必要性を強く訴えた」と語った。


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各球団の対応の違いがなかなか面白い。
この面談は、ありていに言えば「清宮幸太郎による球団の品定め」である。生意気なことではあるが、高校生がプロ球団を選別しようとしているのだ。清宮はそれだけの素材だということだろう。
プロ球団は「清宮に気に入ってもらう」プレゼンテーションをしなければならない。

一番必要ないのは「キミを評価している」という言葉だ。評価しているからこそ"逆面接"に来たわけで、今更ほめちぎっても清宮親子は痛くもかゆくもない。

「生意気だ」と言われる危険性を承知で、清宮親子がわざわざサシで球団と話した目的は、具体的なプレゼンテーションが聞きたかったからだろう。

2012年オフ、MLB挑戦を表明した大谷翔平に対し、日本ハムは彼のためだけに企画書を作りプレゼンをした。当サイトでも紹介したことがあるが、直接MLBに行くよりも日本ハムで教育を受けたほうがリスクが少なく、確実であることを数字やグラフを使って紹介した、面白いものだった。大谷はこのプレゼンテーションで気持ちが動いたのだ。

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今回はそれほどの時間はなかっただろうが、育成環境やポスティングなど具体的な条件提示を求めていただろうし、そういう部分をきちんと説明する球団に好感を抱いただろう。

巨人は手ぶらで清宮に会い「キミを評価している」と言った。一番偉い人は来たんだから、それだけで十分だろう、という態度だったが、これ、落第でしょう。巨人は菊池雄星と面談した時に担当者が「ぶっちゃけ、ウチに来たいの?」と言ったと報道されているが、まだ上から目線だ。いまだに他球団に比べてアドバンテージがあると思っているのだろうか?

1位指名を明言した阪神や、「どうしても必要な選手」と口説いた中日なども失格ではないか。あたりまえだろう。

そういうチームに「指名しないでほしい」というかどうかは別として、この"逆面接"の主旨がわかっていないことに落胆したのではないか。
これに対し、より踏み込んだ、具体的な話になった球団は、好感度がアップするのではないか。

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今回の"逆面接"には、広島と日ハムは参加しなかった。広島は広陵の中村奨成を指名するつもりのようだが、日ハムは「日程が合わない」とのことだった。

これ、なかなか意味深だ。大谷翔平のときのようにすごい「企画書」を作っているのではないか。そして日を改めて1球団だけでプレゼンテーションする気ではないか。
大谷翔平の実績もあるし、日ハムはソフトバンクと並び清宮の意中の球団ではないかと思うが、時間差攻撃で一気にアドバンテージを取るのではないか。

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