この本にもたびたび親の問題が出てくるが、ブラック部活には「親」の存在が大きくかかわっている。
教師は一定の目的を持ち、共通の知識、技能、教育に対する姿勢、考え方をもっている。
しかし親は「我が子を学校に通わせている」という以外に共有するものがない。
実に多様な属性、価値観、教育方針をもっている。
「部活」に関しても、その見方は実に様々だ。
子どもが「部活」に励んでいるのを見て、喜ばしく思う親は多いだろうが、そこにはかなりの意識の差がある。

・「部活」は楽しみでほどほどにやってくれればよい
・「部活」と「勉強」の両立が前提
・「部活」に一生懸命打ち込んでほしい
・「部活」は勝つためにある。大会で実績を上げてほしい
・何が何でも「部活」で全国大会へ


下の方へ行くほど親の熱意は高まる。濃度が高くなる。
そして「部活」に口出しをするのは、下の方の「濃度が高い」親なのだ。
学校に対する「部活」のクレームは、「やり過ぎだ」「もっと軽くしてほしい」というのはほとんどない。大部分が「もっとやらせてほしい」「勝つために、もっと長く練習をさせてほしい」というものになる。

そうした親の圧力によって、教師のプライベートはどんどんなくなっていく。しかも「部活」は無給、無償なのだ。

一般企業で「キミ、来週から土曜、日曜残業してくれないか。残業代も交通費も出せないけど、頼むよ」と言われて了承するサラリーマンはいないだろうが、それと同じことが平然と行われている。

学校側も「『部活』に打ち込む先生は、熱心だ」「長時間子供のために身を粉にして働くのは、教師の理想像」という認識があるから、先生に同調圧をかける。教師は追い込まれていく。

日本のスポーツ選手が、効率を考えずにやたら長時間練習する背景には「長い時間練習する選手がうまくなる」「長時間頑張る選手が偉い」という「部活」で培われた意識がある。

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高校野球をさせる親の中には、さらにえげつないのがいる。
・「部活」を足掛かりに甲子園を経て、プロ野球に行かせたい。億の金を稼がせたい。

学校、教育とは関係のない目的で我が子を学校に行かせ、教員に猛練習をさせる親がいる。
東大に行くには、学校の授業では無理で、学習塾に行ったり、家庭教師に就いたりするが、甲子園に行かせようとする親は、監督、指導者に塾や家庭教師の役割もさせようとしている。

そして高校野球の指導者の中には、自分で寮を建ててそこに子供を住まわせ、妻を寮母にして4時間面倒を見る人がいる。そこまでしなくても野球部の寮に夫婦で住み込む指導者は珍しくない。

狂気の沙汰だと思うが、そういう人を「教育の鑑」だとする風潮が日本にはある。世間はそれを素晴らしいという。とりわけ選手の親は絶賛する。信者のようになる親もいる。そういう本もたくさん出ている。
そういう指導者がいる学校では、ごく普通の労働者として働きたいと思う教師は、学校、そして親から非国民のような扱いを受ける。

親は学校の外にいるだけに、なかなか制御できない。悩ましいことである。

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ルーキー最多安打レース

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