私はいろんなところに投稿しているが、野球の問題点として「運動量が少ない」ことを指摘する人が結構いる。これ、全く理解できないのだが。

例えば「東洋経済ON LINE」の拙稿には、こういうコメントが来た。

実際、野球の試合に参加するとすんげぇつまんないのだけど。
半分の時間はベンチで休憩。半分の時間はグランドで突っ立っているだけ。
ピッチャーやれれば話は別だけど。
対して攻守がダイナミックに変化して、常に試合展開に係われるサッカー。
そのサッカーを知っている子供が野球を面白いと思うかどうか・・。

これは野球よりもサッカーが好きになった人が「野球を理解できない」ことを吐露しているだけである。
これ以外にも「野球は運動量が少ないから、子どもの心身の育成には向かない」という指摘も散見される。スポーツ指導者などにもそういう人がいる。

こうした指摘は、不毛だ。改善する方法論がないからだ。各ポジションに就いた選手に、走ったり飛んだりさせるわけにはいかない。またいきなり攻守交代をすることもできない。
投手が投げないとプレーが始まらないこと。野手は打球や送球が来るのを待って動くこと、3アウトで攻守交替になることは、野球のアイデンティティにかかわるルールだから、変えることができない。

野球好きが「サッカーは絶えず走り回っているからせわしない」「いきなり攻守が変わるから展開がわかりづらい」というのが、指摘ではなく、単なる感想であるのと同様、まともな意見ではない。その人の好き嫌いの話だ。

野球は投手以外の運動量がそれほど多くないから、選手の消耗が少なく、毎日試合をすることができる。これは、サッカーにはない大きなメリットだ。サッカーは年間100試合もすることができない。だから、観客動員で野球を上回るのは難しい。

もちろん、練習の非効率、時間のわりに運動量が少ないことは改善されるべきだ。ノックの順番を長い行列を作って待つのは、確かに非効率だ。しかしそれは競技の問題ではない。

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野球という競技のアイデンティティにかかわる指摘は、これ以外にもある。

9回は長すぎる、四球は多すぎるというたぐいだ。だから試合時間が長くなる、という指摘もある。
しかし、昨日の3時間半以上かかった日本シリーズは、それだけの内容があった。ソフトバンクの優秀な救援投手に対し、ファウルを連発して粘るDeNAの下位打線の攻防は、時間がかかったが見ごたえがあった。

これを見て長すぎる、だらだらしているという人もいるだろうが、それはそもそも「野球が好きではない」からだ。

確かにタイブレークの導入など、野球の冗長な部分を改善するのはある程度必要だろうが、野球の魅力の核心、アイデンティティにかかわる部分まで見直しをする必要は全くない。

たとえ、そういう見直しをしても、野球が嫌いな人が好きになるとは限らない。その可能性はほとんどないだろう。かえって野球好きを離反させるのが落ちである。

野球に対する批判には耳を傾けるべきだが、それが妥当かどうかは、しっかり吟味すべきだ。
サッカーなどに比べて「運動量が少ない」ことは、デメリットでも何でもない。

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