NPBは胸をなでおろしていることだろう。12球団の会費が1球団当り1億円から1000万円に減額される中で、日本シリーズはオールスターゲーム、侍ジャパンと並ぶ3大収入源なのだ。これが4試合で終わらなくて本当に良かった。
DeNAの本拠地、ハマスタは12球団でも最小クラスのキャパだ。観客動員は東京ドームの7割程度だ。
でも、6戦となれば20万人以上の入場客が見込める。地上波での放映権料、スポンサーフィーなどで、NPBの収入は何とか維持できる。

一昨日は、濵口が信じられない好投を見せて、ソフトバンクが試合をあきらめたので、五十嵐、攝津と予備役の投手を出してワンサイドになったが、昨日のDeNAの投手陣は、明らかにソフトバンクよりも下だった。

石田は、早々に失点するし、点を取ってもらってもすぐに逆転された。三上をワンポイントに使ったのはラミレス監督の頭の冴えを感じさせたが、日本ハムからやってきたエスコバーも、パットンも優秀とは言えなかった。その上頼みの綱の山﨑康晃は球が高めに浮き、明らかに「打たれるモード」だった。

これに対し、バンデンハークは、今季一番と言ってよいほどの立ち上がりだった。速球は走り、DeNA打線を寄せ付けなかった。

戦力的には最初からかなりの差があった。そんな中で、昨日のDeNAが上回ったのは「ホームアドバンテージ」だけだと言ってよい。
立ち上がりに先制されて、4回に筒香の2ランで追いつく、すぐに中村晃の本塁打で逆転されると、今度は筒香、宮崎の安打と二塁明石の失策でまた逆転する。この展開は、スタジアムの熱気が後押ししたのだと思う。

ラミレス監督は、日本人以上に「流れ」に敏感だったように思う。取られたらすぐに取り返す。ピンポイントで選手を投入する。
そして一つ一つのプレーを通して選手に何事かを使えるのが、非常に巧みだった。
日本での生活が長いアレックス・ラミレスは、日本語はほぼ完全に理解すると言われる。しかし、多くの外国人指導者がそうしたように、ラミレスも通訳を通じてコミュニケーションする。言葉は伝わっても、細かなニュアンスや感情が伴う情報をうまく伝えることは困難だからだ。

しかしラミレスは一つ一つの采配で、彼の意図、ナインに求める心構えを、言葉よりもはるかに的確に伝えた。
例えば7回二死二塁で内川を敬遠し、中村晃と勝負したシーン。中村は前の打席で本塁打を打っている。しかし一二塁にすることで内野は守りやすくなる。また、投手は左の砂田だ。ここでラミレス監督は「背水の陣」をナインに悟らせた。

そして9回、二死一二塁、満塁とDeNAが累卵の危機に瀕する中で、ラミレスは外野陣に前進守備をさせた。ソフトバンクは表の攻撃であり、点を取られてもDeNAには裏がある。前進守備で間を抜かれたら、大量点で試合が決まってしまう。
しかしラミレス監督はここでも「背水の陣」を敷いた。レギュラーシーズンではそうするであろう確率論ではなく「この瞬間」への集中をナインに命じたのだ。

CSファーストステージ以降、こうした場面を何度も目にした。
ラミレス監督は、短期決戦の戦い方をよく知っている。そしてギャンブルに勝つ方法も。

本拠地ハマスタで勝ち越したことでラミちゃんの面目は保たれた。「下剋上」からここまでやれば充分である。これからDeNAはのびのびと戦うだろう。

明日の試合が楽しみである。

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