いろんな意味で、野球の将来がほの見える大会だった。日本が勝ったのは喜ばしいが「アジア王者」は大層でしょう、というのが正直なところだ。
箇条書きで感想を書く

1.NPB、電通には集客能力、演出の力も大してないこと

この試合は侍ジャパンの運営会社で、讀賣グループが実権を握るNPBエンタープライズが主催し、電通が仕切って放映権を放送局に販売している。
一応ビジネスとしては成立しているが、集客は4試合で104,826人、東京ドームの動員率は56.9%にとどまった。昨日の決勝戦は30000人ちょっと、日本戦では最小だった。
大きな大会でもないし、フル代表でもないから、こんなものだと言えばそうだが、改めてNPB本体には集客能力がないことがはっきりした。
電通も「売るだけ」で、博報堂のようなきめ細かなスポーツマーケティングはできていない。
膨大な経験値を持つ12球団が集客やマーケティングに協力していれば、かなり違ったと思うが、NPBエンタープライスに出向していたNPB球団のやり手のスタッフは、あらかた戻ってしまったので、今は侍ジャパンには集客、プロモーションのノウハウがない。
また、12球団はNPBのプロモーションは承認はしているが、協力はしていない。

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2.韓国は実力的に下り坂であること

相変わらずフルスイングする打者が多く、特にホームランを打った朴珉宇のスイングは速かった。また李鍾範の長男李政厚は、スピードスターの可能性を感じさせたが、投手力はむしろ落ちていた。
力のある4シームを投げ込む投手はいたが、精度のある制球力を持つ投手も、鋭い変化球を持つ救援投手もいなかった。
KBOでは救援投手のステイタスが低いこともあって、なかなかいいセットアッパー、クローザーが育たない。
トータルで見れば、韓国の力は落ちていると感じられた。
オリンピック種目でなくなり、兵役免除などの特典が少なくなったことで、良い人材が入っていない感じがする。KBO自身は、相変わらず人気があるが。

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3.台湾は、やっぱり弱いこと

ろくな投手がCPBLにはいないから仕方がないが、勝てる要因は少なかった。韓国とは互角で戦ったが、日本と比べると走攻守で大きな開きがある。
関係者に聞くと「CPBLは日本の独立リーグレベル」という認識だ。台湾はアマ野球の方が強いが、こちらを出す方がいい戦いができただろう。
正直言って、相手にするには物足りないという感じだった。

4.本当のアジアチャンピオンシップにすべきだということ

中国は、資金面、日程面の問題で参加を見送った。フィリピンやインドネシアなどの国も呼ばなかった。実力はともかく「アジア王者」というからには、野球をやっている多くの国が参加すべきだった。
オーストラリアは、2013年のアジアシリーズ(チーム単位でのチャンピオンシップ)で、キャンベラが楽天やヒーローズ、義大を破って優勝している。
MLB傘下に入って、実力を蓄えているのだ。オーストラリアもぜひ参加させるべきだろう。

これまで、NPBがやってきたシーズンオフの国際大会は、いずれも「不入り→不採算→中止」というパターンを繰り返している。
今回の興行で、NPBは放映権を売ることができたので、収益があったとは思うが、次回はもう少し実態が伴ったものにすべきだろう。

4年先までやらないというのも、のんびりした話ではあるが。

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2017年則本昂大、全登板成績【5年連続2ケタ勝利に4年連続奪三振王】

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