NPB球団の強力なマーケティングについてはこれまでもしばしば紹介している。



何段階にも分けてファンクラブ会員を募集する。各試合ごとにさまざまなイベントを催す。グッズを無料で配布する。
そしてファンクラブ会員一人一人に向けて、個別のメッセージも配信している
さらに、応援団も球団が半ば組織化し、応援スタイルを演出したり、応援団メンバーに特典を与えたりしている。
さらにグッズも強力に販売している。レプリカユニフォームからスポーツウェア、カジュアルウェア、小物類、そのアイテムは膨大だし、シーズン中に何度も入れ変わる。
そういう形でファンの購買意欲を刺激し、客単価のアップを目指しているのだ。

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多くの球団は本拠地球場の指定管理者になっているから、スタジアム内での飲食の販売からも収益を得ている。
日本ハムはそうなっていなくて、札幌ドームでは伊藤ハムのポークビッツが売られているという冗談みたいな話もあるが、多くの球団は球場でも収益を上げている。
さらに、指定管理者になっている球団は、球場の広告類も管理し、ここからも広告料収入を得ている。

地元自治体は、球団に対し様々な便益を図っている。広島市のように、市自らが積極的にカープを応援し、情報発信している球団もある。

多くの球団は、主催試合をスポンサーにばら売りしている。年間71~72試合のうちかなりの試合が、冠スポンサー付きの試合になっている。

地域の放送局に試合中継の放映権も販売している。全国放送の中継はなくなったが、ローカル局では根強い人気がある。人気コンテンツの一つだ。

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そのうえで、地方試合を地元新聞社などにゲームごとパッケージで販売している。地方球場は小さくて、お客もなかなか来ない。観客動員や売上高では多くは見込めないが、パッケージで販売するので、絶対に赤字にはならない。
これも利益を残すためには重要なチャネルだ。

最近は、東京ドームや京セラドームが、本拠地ではない球団の主催ゲームをするようになった。東京ドームでは古巣の日本ハムが昔から主催ゲームをしているが、これに加えソフトバンクやロッテも主催ゲームを行った。
球場側からすれば、稼働率を上げるというメリットがある。球団は、球場丸抱えで試合をすることで、やはり利益を確保することができる。

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NPBのビジネスは、今や本当に多岐にわたっている。
「プロ野球の赤字は親会社の広告費」という国税庁通達に乗っ取ったビジネスモデルに胡坐をかいているチームは今や皆無だ。

さらに、各球団はアカデミーやキッズチームを組織している。子供たちから月謝をとってOB選手が野球を教えている。また、各地で野球教室を行っている。各球団の野球教室開催数は、年間100件を超す。

NPB球団との接点ができて、球団の事業を垣間見るようになってNPB球団は「やれることはすべてやっている」という感を強くする。

昭和の時代のように、放映権料に胡坐をかいて、ファンサービスも適当、競技人口の育成なんて関係ないよ、という球団は一つもない。

マーケティングとは「売るためのすべての努力」だとされるが、NPB各球団はまさにマーケティング集団だといえるだろう。

しかしながら、こうしたマーケティング、経済活動は、一定数の巨大なファン層=マーケットがあることを前提にしている。
そのマーケットに向けて、効果的で強力なアプローチを繰り返し繰り返し行うことで2500万人の観客と、大きな売り上げを挙げている。

「野球離れ」によってそのマーケットが減少する危機に瀕して、各球団の取り組みはまだ本格化していない。ようやく一部の球団が幼児に対する野球教室を始めた程度だ。

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何よりも問題なのは、そうしたアプローチが「球団単位」であること。他球団のやっていることには一切干渉しないという昔ながらのセクショナリズムのために、NPBは迫りくるマーケット減少に対して。有効な手が打てていない。
さらに言えば、プロ野球とアマチュア野球の偏狭な縄張り意識も、「野球離れ」対策の大きな壁になっている。

「野球」という一つの名のもとに結集し、「野球離れ」に取り組むべき時が来ているのに何もできていない。それが「野球危機」の最大のポイントだ。

こうした各球団の努力が、野球ファンという「パイ」全体の縮小で、徒労に終わるときが来るかもしれない。


年度別チーム第1号本塁打は俺だ! 南海~ソフトバンク編

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