アジアの大会、サッカーのAFCチャンピオンズリーグはBSCSで、野球のアジアチャンピオンシップは一応地上波。これは、ナベツネの陰謀とかではなく現時点での二つのスポーツの「時価」を現しているのだろう。




テレビのバラエティでの企画だったが、だれもが知っている日本人アンケートで、野球選手はイチローやON、松井秀喜、ダルビッシュ有、田中将大など、100人中で6~7人ほどが入っていたが、サッカー選手はいなかった。中田英寿も三浦知良もランクにはなかった。

世間一般の野球とサッカーの認知度にはそれくらいの差があるのだろう。
野球は昭和の時代、テレビのキラーコンテンツだった。その時期の「残り香」もある。これまで一度もナショナルパスタイムになったことがないサッカーとの差はまだ大きいということだ。

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それに加えて侍ジャパンの運営会社であるNPBエンタープライズは、日本テレビが大株主だ。実質的に日テレが、テレ朝やTBS、フジなどにアジアシリーズを販売したのだ。

そうしなければいけない理由がある。NPBに各球団が納める会費は1億円から1000万円に減額されている。NPBの売り上げを維持するために放映権を販売する必要があったのだ。

ただ、どちらのイベントも今は電通が仕切っている。電通は博報堂とは異なり、そのスポーツを育てようという気持ちはさらさらなく、極めてビジネスライクではある。
電通としてはサッカーをBS、CSでやって、野球を地上波でやったのは、純粋にビジネス的な判断ではあっただろう。
事実、あのちんけなアジアチャンピオンシップ決勝の平均視聴率は9.4%、最高で15%に達したという。商品価値は辛うじてあったとみるべきだろう。

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ただし、私はそれは大したことではないと思っている。サッカーも野球も特別の国際大会を除いては、地上波では放映権が稼げなくなっている。
そういう意味で、野球とサッカーの置かれている境遇に大差はない。

地上波テレビではNHKを除いて、もうスポーツ中継は難しくなっている。時間がかかり、集中しないと面白くならないスポーツ中継は、民放テレビの今の実力ではコンテンツにするのは難しい。
バラエティのようなせいぜい数分の細切れなコンテンツでないと、もう視聴率を取ることはできないのだ。

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NHKなどを見ていると、本当はそうではなくて、今でも大きなコンテンツを丸ごとしっかり見せることができれば、ガマンをしてそれを見せ続けることができれば、次第に視聴率は取れようになるとは思うが、今の民放は、それができない。端的に言えばスポンサーがそれを許さない。
今のスポンサーは、テレビ番組を育てる気はほとんどない。即座に視聴率に結びつけて業績をアップしたい。そうでなければ負けてしまう。
そういう世知辛い世の中になって、どんどん地上波のコンテンツは劣化し、つまらないものいなっていったのだ。

しかしスポーツのニーズはある。ついこないだから「ビートたけしのスポーツ大将」が復活した。他にも「体育会TV」など芸能人がスポーツ選手とスポーツ風の競技を競う番組は好評だ。
視聴者はスポーツが嫌いになったのではなく、競技の流れをじっと見続ける辛抱ができなくなったのだ。
刹那的に、すぐに答えが出て、わっと笑えるようなものばかりを見ているうちに、本格的なコンテンツは消化できないようになった。
スナック菓子ばかり絶えているうちに、本格的な料理が食べられなくなった状態と言えようか。

率直に言って、野球もサッカーも、他のスポーツも、本格的な中継番組は、すべてオワコンになっている。
もう、地上波を相手にして大きな放映権ビジネスを展開するのは無理だろう。

その先をどう考えるか、の時代が来ている。



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