「野球離れ」を食い止めるために、野球のルールを改めるべき、とか、こうすれば野球ファンが増えるという意見をいただくが、私は懐疑的だ。
例えば、時間短縮のためにストライクやアウトカウントを減らすべきとか、7イニングス制にすべきとか言う意見をいただく。
それは「野球は試合時間が長すぎる」と思う、野球ファンではない人を、野球に引き寄せるための方策として、ルールを見直すべきだというものだ。
何度も意見をいただくし、そうなのかと思う部分もあるが、今、野球が好きな人は「時間が長いことも含めて野球が好き」なのだ。
ストライクにせよ、アウトカウントにせよ、イニングにせよ、みんな必然性があってそうなっている。
3-2、フルカウントでのせめぎあいも、7回から出てくるセットアッパーの存在も、野球の重要な妙味だ。それを無くしてまで「時短」をすべきなのか?
「時短」をしたから嫌いな人が好きになってくれるのか?

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たしかに「時短」は、MLBでも重要な課題になっている。敬遠での投手の投球を省略した。またスピードアップを図ろうとしている。

しかしそれは、新しい顧客を志向しているわけではない。NFLやNBAなどスピーディな試合展開に影響されて、既存のファンが「野球は長い」と思い始めている。つまり既存のファンの要望に応えようとしているのだ。だから改革には躊躇ないMLBでさえも、大きなルール改正には慎重だ。

端的に言って、ストライク、イニングなどの改訂によって、新しいお客が来るよりも、既存の客が減る可能性の方が高い。
「見ごたえがなくなった」「駆け引きが単純になった」という意見が出るのは間違いないところだ。

私は成人して野球が好きではない人を、野球ファンに引き込むのは並大抵ではないと思っている。
コストをかけても、引っ張り込むのは難しい。
大人のファンを引き込むには「楽しい応援」とか「グッズ」とか、そういう表面的なものしかないと思っている。

野球の本当の面白さを訴求すべきは、まだ先入観がない子供の内だ。ややこしいルールも、子どもなら入ってくる。ストライクやイニングの意味も理解できる。

ついでながら、プロ野球選手のオフのいろんなプライベートを取り上げる番組について、あれが嫌で野球嫌いになった人がいるという指摘があったが、それは嘘だと思う。
野球、野球選手が好きではないから、そんな人のプライベートを見て不愉快に思うのだと思う。

「野球離れ」は深刻だ。野球界はこれに全力で取り組むべきだ。
しかしそれは、今、野球が好きではない人のために、いろんな譲歩をして野球を見てもらうことではない。どんな譲歩をしても、野球が嫌いな人は嫌いなままだ。労多くして功少なしである。

やはり子供を「野球好き」にしていくしかないと思う。

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