選手の年俸が「推定」であっても、さして不都合はない。選手の実力、ステイタスを測る目安として年俸は有効だが、制度は求められない。しかし各球団の金の出入りは鏡張りであってほしい。
Jリーグのサイトを見ると、各クラブの経営指標がすべて同じ表で公開されている。
Jリーグでは厳しい財務基準を設定している。3期連続の赤字決算や、債務超過はライセンスはく奪につながる。その基準を公表しているから、経営指標は当然、オープンにしなければならない。DAZNとの長期契約によって、財務基準はやや緩和されたようだが、それでもクラブの経営が赤字続きであることは許されない。
何度か触れたように、JリーグもNPBと同様、実質的に親会社からの補填に対する優遇措置が認められているが、それも単独での健全経営が前提になっている。

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これに対してプロ野球は長らく、親会社の広告部門という名目で、いくら赤字を垂れ流してもOKという時代が続いた。
いわば、昔の力士のお抱えと同じで、親会社の「道楽」だったのだ。
讀賣新聞のように巨人を新聞拡販の道具に使うようなビジネスモデルを確立できた会社は少ない。ほとんどの企業は野球を「男芸者」だと思っていた。

だから親会社から送り込まれる人材も、経営のプロと言える人は少なかった。多くはグループ企業のポストとして数年間その椅子に座り、定年退職するか、本社に戻った。
健全経営という発想が全くなかったのだ。

だから金満球団は球団の経営を顧みず金を使った。赤字になれば親会社に補填してもらえばいい。親会社は、自分たちで処理できないややこしい金の流れを、球団を通して決済することもあった。ある種のマネーロンダリングも行われていた。
球団の財布は、親会社の財布であり、公開できない類の金のやり取りも含まれていた。

21世紀に入って、特にパ・リーグで球団の独立採算の動きが見えている。セ・パともに健全経営を目指す球団が増え、黒転する球団も増加した。
しかし、経営内容は公開していない。赤字だったり、知られたくない金の流れがあったりするからだ。

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Jリーグが経営状態を公開しているのは、サポーターをステークホルダー(利益共有者)だとみなしているからだろう。自らの経営状態をサポーターに知ってもらうことで、支援を求めやすくなるし、補強や投資への理解も得やすくなる。

プロ野球はファンをステークホルダーだとは見なしていない。ただの「客」だと思っている。あれほど金を使わせておきながら、その存在を正当に認めていない。だから球団経営を「秘密の財布」にしている。

この稿の頭に紹介した伊東歩さんの本は、NPB球団の経営状態をかなりの精度で明らかにしている。しかし、それでも「推定」は「推定」のままだ。

選手の年俸が「推定」でもかまわないが、球団の経営はオープンにすべきだ。そうでなければ、ファンは報われないし、球団にもまともな経営者は育たない。


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