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私は10冊以上の本の制作に携わってきたが、いつも当初は「本当に刊行できるのか?」と半信半疑の思いに駆られる。しかし、このMookほど先が見えない仕事はなかった。

プロ野球春季キャンプを取り上げた本は、ベーマガが一度作っている。しかしこれは「ガイド」の部分は少なく、このシーズンに期待がかかる選手の特集が中心だった。

しかし、キャンプに行けばわかることだが、お目当ての選手が都合よく練習しているところにめぐり合わせることは滅多にない。選手にスポットを当てても、見どころにはならない。

それよりもファンがキャンプに行って、何を見るべきなのか?どんな魅力があるのかをしっかり伝えるガイドブックが作りたかった。

で、芸文社に提案をして作ることになったのだ。
しかし、キャンプの取材は12球団に個別に連絡をして取材許可をとらなければならない。しかもグランドの外は自治体、観光協会などの管轄だ。そこにも許可を取らなければならない。
私はここ数年、春季キャンプに出掛けているが、今年は全く気分が違った。ブログで書くことを目的としてキャンプを見に行くのと、プレスパスを取ってキャンプに行くのとでは、プレッシャーが違う。

12球団の対応は千差万別だった。受付に行くとすでに私の名前が掲示されて「ようこそいらっしゃいました」と書いてある球団もあった。また、広報担当が案内してくれる球団もあった。一方で、本社広報に申請していたのにもかかわらず、現地で「誰だ、お前は!」と言われたこともあった。「この取材なら、パスはいらないね。普通のお客さんと同じエリアから取材してください」と言われたこともあった。いずれにしても最終的には取材許可を得たのだから、12球団に感謝はしているが、球団のカラーを肌身に感じた。

13か所(巨人は宮崎、沖縄の2地区)の行政、観光協会にも挨拶をし、許可を得た。こちらは行政のスタンダードだ。私はお役所との仕事をたくさんしているので、ストレスはなかった。

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取材は2月、刊行は翌年1月、足の長い仕事だ。制作でもいろいろあったが、確認作業がまた大変だった。球団、行政ともに人事異動があって、担当者が代わっているケースがあった。
またこのタイミングで「出版許可を取っているのか」という球団もあった。単行本の場合だと肖像権、著作権の問題が発生するのだ。「これはMook、雑誌です」と説明をして事なきを得た。

何とかなるかな、と思っていた矢先、日本ハムが来年は沖縄、名護市でキャンプをしないという発表があった。一つのキャンプには4見開き、8ページを取っている。これが吹っ飛んだ。名護市は一番親切に取材に対応してくれただけに、誠に残念だった。

キャンプの予定が決まらない球団も多かった。行政の側からも細かいチェックが入った。私はこの間に台湾に出張したが、気が休まらなかった。

入稿寸前まで「本当にできるんかいな」と半信半疑だったが、今、手元に刷り上がりが届いた。

今は12球団と行政、観光協会に感謝しかない。「るるぶ」などが簡単なガイドを出してはいるが、12球団の春季キャンプを紹介した本はこれまでなかったはずだ。

写真も文章も全部、私である。

来年も私は12球団のキャンプに行くが、ずいぶん見方が変わった。読者各位も春季キャンプの魅力を、ぜひ味わっていただきたい。

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