kessan


今年もプロ野球の総決算号的なものがいろいろ出ている。なかでベーマガの「2017プロ野球シーズン総決算号 2018年 01 月号 ベースボールマガジン 別冊」の評判が極めて悪い。
私はこの本への思いれはないが、多くの野球ファンが毎年楽しみにしているようだ。

彼らは、NPBの1シーズンをこの1冊で俯瞰したいと思っていた。しかし、今年から記録関係がごっそり抜けてしまった。

写真が増え、MLBやアマチュア野球まで紹介しているが、二軍成績も守備の詳細なデータもなくなっている。

ベーマガでは週刊ベースボール12/18で、記録を詳細に掲載している。

bemaga


版元は、これがあるから総決算号では記録はもういいか、と思ったのかもしれないが、そういうものではないのだ。
記録を知りたいだけなら、今はNPBの公式サイトで一軍も二軍も詳細なデータを公開している。ボックススコアも公開している。

それがあるからいいだろう、とも思ったのかもしれない。しかし、それは大きな勘違いだ。
野球ファン、特に記録を愛する人は、数字が知りたいわけではない。その年のプロ野球選手の活躍の足跡を手元に置いておきたいのだ。

膨大な数字の重なりは、深く知らない人にはグレーのスクリーントーンと見分けがつかないかもしれないが、野球好きにはかけがえのない記録であり、そこから無限の物語をイメージすることができるのだ。

「総決算号」は、写真や文章と、記録が一緒に収められていることに価値があった。躍動する選手の写真とともに、打撃や投手の成績が乗っていることに意義があった。
ファンは、そういう形で「2017年」という年を総括したかったのだ。年々「決算号」を買う人は、そういう形で「プロ野球史」を自分の人生に重ねていたのだ。

情けないと思う。ベースボール・マガジン社は野球ファンの感性やマインドがわからなくなってしまっている。そうした野球ファンを育てたのはベーマガだったのにも関わらず、野球ジャーナリズムの大事な部分が見えなくなっているのだ。

そういうファンは、2513万人もの動員を誇るプロ野球では、ほんの一握りかもしれないが、彼らは熱心な顧客であり、必要とあらば何でも買ってくれるコアなファンだったはずだ。

「総決算号」に寄せられたいくつもの「★☆☆☆☆」のコメントを読んで、こんなにたくさん野球の記録を心待ちにしていた人がいたのかと、心打たれる思いがした。

私は今秋、他の野球出版物にも拘わったが、スポーツ専門の編集者であっても「記録」に対する思い入れは少なくなっているし、そもそもほとんど理解していない人が多くなっていることも実感した。

彼らにここまでの失望を与えたことを、ベースボールマガジン社はしっかり受け止めなければならない。
時代が変わっても「記録」は、野球というスポーツの魅力の重要な部分を占めている。そのことに改めて思い至った。


2016・17年R.バンデンハーク、全登板成績【ハムや金鷲は嫌だけど、初の2ケタ勝利&規定投球回到達】


私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!

好評発売中!