「野球離れ」について本を書き、いろいろなところに投稿している。そのこともあって、いろいろと声をかけていただいた。
私が「野球崩壊」を書く以前から、野球の現場では「野球離れ」に危機感を抱く人がたくさんいた。
その原因は、少子化ではなく、野球界そのものの「体質」にあることも、多くの人が指摘していた。

少年野球指導者の中には、指導法を見直し、新しいメソッドを開発している人もいた。

ある地方では、名前の知れた高校野球の指導者が、退任後、グランドにグラブやボールを置いて、下校途中に高校生に「おい、キャッチボールやっていかんか!」と声をかけて、キャッチボールをさせていた。中にはサッカー部やバレー部など、他の部活をしている生徒もいた。ほんの10分、15分だがグラブやボールに触れる体験をさせ、野球の楽しさを実感させた。
そういう普及活動ともいえない活動を何か月も続けていた。少しずつそれを楽しみにする生徒も増えてきた。

しかし、そこに横やりが入った。バレー部やサッカー部ではなく、地域の高野連である。「届け出もなく、勝手に指導をするのはまかりならぬ」というのだ。独立リーグのチームが少し協力していたことも気に入らなかったようだ。
その指導者は、今、別の高校の指導者になっているが、そういう心ある指導者の取り組みを阻むのは、他ならぬ野球界そのものなのだ。

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「野球離れ」に対する取り組みは、全国で少しずつ情報共有の輪を広げつつある。
この間の野球科学研究会でも、そうした「指導」「普及」に関する発表がいくつかあった。教育学、心理学、いろいろな観点から「野球の指導」についての研究が進んでいることがひしひしと伝わってくる。

こうした取り組みは、アマチュア野球だけではない。プロ野球の世界でも、NPBや、各球団の普及関連の部署で「野球離れ」に危機感を抱く人がいる。そして「野球離れ」を食い止めるための活動を始めている。それは従来の「野球教室」とは全く異なる取り組みだ。

そうした動きを取材して、多くの人が真剣に野球の未来について考えていることを知り、心強く思ったが、同時に私が危惧していた「野球離れ」が、現実のものだということを実感して、暗澹たる気分にもなった。

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2016・17年R.バンデンハーク、全登板成績【ハムや金鷲は嫌だけど、初の2ケタ勝利&規定投球回到達】


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