この暮れに野球の記録のムック作りを手伝った。また、2017年はいろんなメディアで「記録」について書いた。かなり違和感があった。私が考える「野球記録の楽しみ」と、メディアや専門家、一部ファンの考え方が、違うなと思ったのだ。それについて考えておきたい。
今、野球は行動な技術によって、どんどん数値化されている。
セイバーメトリクスは、30年ほど前から、統計学者が従来のSTATSの読みなおしを行い、様々な新しい指標を世に問うてきた。
そんな中から、OPSやBABIP、K9、BB9、K/BB、WHIPなど、新しい概念が生まれてきた。

もともとは、ヲタクなマニアの楽しみだったセイバー・メトリクスだが、1990年代に入ると、MLBではこの数値を選手の評価や実戦に活用する動きが出てきた。

傑作「マネー・ボール」にはその状況を鮮やかに描いている。オークランド・アスレチックスのビリー・ビーンGMは、セイバーの数値に着目し、年俸が安くて出塁率、長打率が高い選手を発掘し、チャンスを与え、ヤンキースの数分の一の年俸で、ペナントを獲得した。

ビリー・ビーンの成功以降、セイバー・メトリクスはMLBで急速に取り入れられた。ヲタクのマニアだけでなく、金融工学を学んだ数字のプロや統計学者などもMLBで重用されるようになった。

勘と経験に頼るような指導者は次第に隅に追いやられ、セイバー・メトリクスを理解し、これを活用できる指導者が生き残ることになった。

選手の評価も一気に変わった。打率、打点、本塁打、勝利、防御率などの指標は今やほとんど評価されず、セイバー系の数値に置き換わった。

MLBの公式サイトもセイバー系の数値を公認するようになった。

セイバー系の数値もどんどん進化した。未開の分野だった守備でもUZRや+-システムなどが開発された。

セイバー系の究極の数値がWARだろう。野手、投手の打撃、投球、守備のデータを総合し、選手をトータルで評価するものだ。
Baseball ReferenceとFangraphsが、独自に計算して発表しているが、このWARが、選手の最終評価につながっている。

近年はタイトルホルダーよりも、WARが高い選手の方がMVPに選ばれることが多い。エンゼルスで大谷翔平の同僚になるマイク・トラウトは2012年に本格デビューして6シーズンでMVP2回、MVP投票2位2回だが、タイトルは打点王が1回だけ。しかしWAR1位には3回選ばれている。

記録ファンとしては、セイバーが評価基準となることは喜ばしいことではあろうが、ことは単純な話ではない。

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