世間には野球記録の愛好者はたくさんいる。私も毎日記録をいじっているが、さらにディープに野球記録を研究している人がいる。
故宇佐美徹也氏の『プロ野球記録大鑑』のアップデート版を今も更新し続けている篠浦孝さん。

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古いスポーツ新聞を探しては、NPBにも保管していない二軍記録を探求している松井正さん。

同じく古いスポーツ紙から細かなデータを掘り起こしている田畑智則さん、当サイトの姉妹サイトを運営しているたばともさんだ。
NPBの全試合、全選手をコンプリートしている「日本プロ野球記録」のウスコイ企画さん。驚くべきは、大相撲でも同様のことをはじめようとしていることだ。
さらに、昭和戦前の硬式スコアブックを再現してアップしておられる南部正広さんも手ごわい。
もちろん、報知新聞で健筆をふるっておられる蛭間豊章さんも日々、記録に関する情報発信をしておられる。
そしてデータスタジアムの金澤慧さんは、Statscastなどの最新の数字をさわりながらも、古い野球のデータへの造詣も深い。

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こういう方々にお目にかかるたびに、私は野球記録の入り口に立っているに過ぎないと思う。皆さんご承知のように、私の頭は粗雑でよく間違う。こういう学術レベルの探求用にはできていないのだ。
ざっくりと大づかみに記録について語ることはできても、精度を要する研究は無理だ。
私の役割は、畏敬おくあたわざる野球記録の研究家が積み上げつつある「野球の記録」という世界に、読者各位をいざなうことだと思っている。

「野球の記録」を楽しむ第一歩は、自分で触ってみることに尽きる。NPBやMLBの公式サイトなどの数字を、Excelにコピペしてみる。
そのときに、加減乗除の数式が必要な率の類の数字は、そのまま貼らずに数式を入れてみれば、その仕組みがわかる。
打率、長打率のような簡単なものから、防御率、出塁率、そういう数式も頭に入れていく。
その上で、こうした在来型の数字をもとにはじき出されるセイバー系の数値、OPSやWHIP、BABIPなどを自分で加えていく。

その都度、ソートやランキングなどのデータ機能を使って数字を並び替えてみるとよい。

いろんなランキングを弾いているうちに、数字への理解が深まっていく。防御率とはどんなSTATSなのか?OBPは、どんな選手が高いのか、などがはっきり見えてくる。

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そうなると、テレビやスポーツ紙などのへなちょこメディアが語っている「記録」の話が、いかに脆弱で、いい加減かがわかってくる。
数字への理解は、自分でSTATSをいじらないと深まらないのだ(だから私はセイバー系でもWARやUZRなどの数字が嫌いなのだが)。

球団丸ごとやリーグ、機構などの数字を扱うと、今、このリーグでは何が起こっているか、が見えてくる。
例えばNPBではじりじりと「投高打低」が進んでいる。パ・リーグで特にそれが著しい。MLBでは、反対に「打高投低」が顕著だ。
それを報道で知るのではなく、自分で数字を弾いてみて知ることの意義は大きいと思う。

そういうことをしているうちに、キャリアSTATSが、単なる数字ではなく、選手の営為の所産であることが実感できる。

そういう風にじりじりと理解を深めていくのが「野球の記録」の楽しみだと思う。

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1999~2001年伊藤智仁、全登板成績【先発として安定も、再び暗闇の中へ】


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