「サンデーモーニング」は星野仙一の追悼から始まった。仕方ないところだ。ゲストは王貞治。星野仙一をよく打ち込んでいる。王に対する星野の本塁打配給は、平松政次の25本に次ぐ24本だ。

王貞治は、大谷翔平に話題が及ぶや、面白いことを言った。

「大谷君は、力感がない。投げるにしても、打つにしても軽く投げているように見えて、ボールがずばっとくる。とてもそうは見えないフォームから160km/hがくる。だから打者は戸惑うのではないか」

投げるそぶりで左腕を上げたのはほほえましい。王貞治は高校屈指の左腕として、選抜の優勝投手になっている。

「力感がない投球フォーム、打撃フォーム」、これこそが大谷翔平の最大の強みだろう。
例えば、全盛期の松坂大輔や、今の則本昂大、菊池雄星などは力感あふれる投球をする。体のエネルギーをリリースする指先の一点に集中するために、全力を注いでいる。
それは見ていて気持ちがいいが、同じ動作を1試合で100回以上もするのだ。体力も消耗するだろうし、故障のリスクも高まるだろう。

しかし大谷翔平は、ゆったりとしたフォームからゆっくりとボールを投じる。キャッチボールのようだ、とまではいわないが、無理なく体を使っている感じがする。

打撃フォームもそうだ。柳田悠岐のつむじ風を巻き上げそうなスイング、吉田正尚の体全体をコマのように回転させるスイングは豪快ではある。しかし、猛烈なスイングは、バックショットとなって体に跳ね返る。柳田も故障しているし、吉田に至ってはフルスイングで腰を痛めている。

大谷はゆったりと構えて、速く、鋭く降りぬく。腕をたたんで内角球を打ち返したり、きれいに流し打ったり、バットコントロールの良さは天性を感じさせるが、打者としても無理がない。

大谷は柔らかくて、ゆとりがある。これはMLBに行っても、大きなアドバンテージになるのではないか。故障のリスクは小さいだろうし、スタミナの消耗も相対的に小さいだろう。そして投手、打者に欠点を見抜かれにくいとも思う。

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王貞治の話で思い出したのは、江川卓だ。江川もゆったりとした力感のないフォームから、すさまじい速球を投げた。同時期に山口高志という剛球投手がいた。小さな体から「五体投地」みたいなフォームで、凄い球を投げたが、山口が命を削るようにして繰り出した速球と、江川のあたかもキャッチボールのような速球は、甲乙つけがたい威力だったのだ。当時、私たちは「どっちが速い」とよく言いあったものだ。
江川は打者としても素晴らしかった。六大学の中継で、山本英一郎が「あれこそ理想の打撃フォームですよ。ゆったち構えて、風格がありますね」と言っていたが、そのフォームから快打を連発したのだ。

王貞治はすっかり小さくなった。同い年の張本勲の半分くらいしかない印象だったが、見る目は鋭く、頭は全く衰えていない。

このところ張本勲は問題発言をしていない。TBSに掣肘されているのか。それはともかく、大谷翔平はMLBでどんなフォームで投げて打つのか、今朝の王の話を聞いて、また楽しみが大きくなった。


1974年星野仙一、全登板成績【巨人を止めた最多セーブ&沢村賞】


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