囲み取材でメッセージを発信する筒香にICレコーダーを向けながら、私の手は震えていた。取材は3時間半を越し、寒さが身に染みていたからではあるが、同時に筒香の発言に感動もしていた。
私の横にはフジテレビのカメラがあった。その横にはNHKもいた。菊地慶剛氏の顔もあった。
筒香の隣には、わざわざこのためだけに日帰りで東京からやってきた鷲田康さんもICレコーダーを向けていた。その横にはFull-Countの佐藤直子さんもいた。
実は筒香は昨年にスーパーバイザーに就任し、同じイベントに参加し、同じようにメッセージを発信していたが、このときは上手くしゃべることができず、真意が伝わらなかった。
今年は練習をして囲み取材に臨んだようだ。筒香のことばはよどみなかった。そして説得力があった。
これだけ多くの取材陣がマイク、カメラを向けているのだ。その日のうちに筒香の発言は広く発信されるだろう。
しかし、おそらく筒香の発言はダイジェストにまとめられるだろう。中には筒香が言いたかったことをしっかり伝えるメディアもあるだろうが、テレビや新聞は意識的に核心部分をぼやかして、「筒香選手が子供たちと交流」みたいなニュース、記事にまとめるだろう、と確信した。
菊地さんの記事 日本野球界の既成概念に挑み続ける筒香嘉智がメディアに語った12分間に及ぶ熱き思い
Full-Count佐藤直子さんの記事 筒香嘉智が勇気を振り絞った12分間スピーチ 球界の現状に違和感と危機感
私は筒香の言葉を一字一句そのまま文章にしようと思った。関西訛りの自分の言葉で、勇気ある発言をした筒香の気持ちを、ダイレクトに伝えようと思った。
翌日、3000字あまりにまとめて「東洋経済ONLINE」にメールした。普通は数日は確認作業があるのだが、夕方に編集者から電話があり、翌朝にはアップするということだった。
昨日、筒香の記事がアップされると、アクセスは急上昇した。「東洋経済ONLINE」は、月間数億PV、日本屈指の巨大サイトだが、数時間でサイト内のアクセス1位になった。すさまじい注目度だった。FBのいいねは7000を超え、コメントも60を超えた。
筒香は記者会見の後、「野球界を変えるためには、メディアの協力が大事。発信してください」と何度も言った。彼の真意を余すところなく伝えるのは、私たちの役割だと思った。
私の記事は予想外の反響だったが、不思議なことに新聞メディアや、ニュースサイトは私の筒香の記事を転載していない。Full-Countの佐藤さんの記事もかなり踏み込んだ内容だった。Full-Countは、Yahoo!やlivedoorのニュース記事の重要なソースのはずだが、これも転載されなかった。
スポーツ紙は予想通り「筒香が寒い中、子どもと遊んだ」というニュアンスだった。一般紙は取り上げてもいない。
おそらく、既存メディアはNPBや、野球界の搬送を忖度して筒香のメッセージの真意を伝えなかったのだろう。彼が勇気を振り絞って語った言葉を、意図的に「何でもないこと」にしたのだろう。
スポーツ紙の記者の中には、彼の真意が理解できないレベルの人もいたと思う。驚くべきことにデスククラスでも「野球危機、冗談言うなよ、俺たちはこんなに忙しいぜ」という人がいまだにいるのだ。
ただ、野球界はメディアがビビるほど強権的でも、頭が固くもないとは思う。メディアが臆病なうえに怠惰で、ややこしいことに首を突っ込まないようになっているのが現状だ。
筒香は会見の後、子どもとじゃれあった。タオルで叩き合ったり「おい、アキラ100%やれよ!」みたいな冗談を言い合って大笑いしていた。それはどこにでもいる25歳の青年の姿だった。
しかし、そんな彼がまなじりを決して語ったのだ。その気持ち、無駄にはすまい、と思った。
筒香と堺ビッグボーイズの取り組みは、今後も取材していくつもりだ。
1974年星野仙一、全登板成績【巨人を止めた最多セーブ&沢村賞】
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!
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筒香の隣には、わざわざこのためだけに日帰りで東京からやってきた鷲田康さんもICレコーダーを向けていた。その横にはFull-Countの佐藤直子さんもいた。
実は筒香は昨年にスーパーバイザーに就任し、同じイベントに参加し、同じようにメッセージを発信していたが、このときは上手くしゃべることができず、真意が伝わらなかった。
今年は練習をして囲み取材に臨んだようだ。筒香のことばはよどみなかった。そして説得力があった。
これだけ多くの取材陣がマイク、カメラを向けているのだ。その日のうちに筒香の発言は広く発信されるだろう。
しかし、おそらく筒香の発言はダイジェストにまとめられるだろう。中には筒香が言いたかったことをしっかり伝えるメディアもあるだろうが、テレビや新聞は意識的に核心部分をぼやかして、「筒香選手が子供たちと交流」みたいなニュース、記事にまとめるだろう、と確信した。
菊地さんの記事 日本野球界の既成概念に挑み続ける筒香嘉智がメディアに語った12分間に及ぶ熱き思い
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私は筒香の言葉を一字一句そのまま文章にしようと思った。関西訛りの自分の言葉で、勇気ある発言をした筒香の気持ちを、ダイレクトに伝えようと思った。
翌日、3000字あまりにまとめて「東洋経済ONLINE」にメールした。普通は数日は確認作業があるのだが、夕方に編集者から電話があり、翌朝にはアップするということだった。
昨日、筒香の記事がアップされると、アクセスは急上昇した。「東洋経済ONLINE」は、月間数億PV、日本屈指の巨大サイトだが、数時間でサイト内のアクセス1位になった。すさまじい注目度だった。FBのいいねは7000を超え、コメントも60を超えた。
筒香は記者会見の後、「野球界を変えるためには、メディアの協力が大事。発信してください」と何度も言った。彼の真意を余すところなく伝えるのは、私たちの役割だと思った。
私の記事は予想外の反響だったが、不思議なことに新聞メディアや、ニュースサイトは私の筒香の記事を転載していない。Full-Countの佐藤さんの記事もかなり踏み込んだ内容だった。Full-Countは、Yahoo!やlivedoorのニュース記事の重要なソースのはずだが、これも転載されなかった。
スポーツ紙は予想通り「筒香が寒い中、子どもと遊んだ」というニュアンスだった。一般紙は取り上げてもいない。
おそらく、既存メディアはNPBや、野球界の搬送を忖度して筒香のメッセージの真意を伝えなかったのだろう。彼が勇気を振り絞って語った言葉を、意図的に「何でもないこと」にしたのだろう。
スポーツ紙の記者の中には、彼の真意が理解できないレベルの人もいたと思う。驚くべきことにデスククラスでも「野球危機、冗談言うなよ、俺たちはこんなに忙しいぜ」という人がいまだにいるのだ。
ただ、野球界はメディアがビビるほど強権的でも、頭が固くもないとは思う。メディアが臆病なうえに怠惰で、ややこしいことに首を突っ込まないようになっているのが現状だ。
筒香は会見の後、子どもとじゃれあった。タオルで叩き合ったり「おい、アキラ100%やれよ!」みたいな冗談を言い合って大笑いしていた。それはどこにでもいる25歳の青年の姿だった。
しかし、そんな彼がまなじりを決して語ったのだ。その気持ち、無駄にはすまい、と思った。
筒香と堺ビッグボーイズの取り組みは、今後も取材していくつもりだ。
1974年星野仙一、全登板成績【巨人を止めた最多セーブ&沢村賞】
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期せずして選手会長も普及活動に熱心なライオンズの炭谷選手になりましたし、選手会からNPBやその他野球界に影響を与えてくれるのではないかと期待しています。