東京スポーツは今の世の中に必要なメディアだと思う。他のスポーツメディアが、球団発表を受けて後追い取材をするだけなのに対し、東スポは球団が隠したいものを暴いている。このあいだの清宮の件も、岩瀬の件もそうだ。
東スポ

日本ハムは14日に海外フリーエージェント権を行使して中日に移籍した大野奨太捕手(31)に関し、人的補償を求めず、金銭補償を求めると発表したが、舞台裏で日本ハムはある選手に白羽の矢を立てていた。それが何と球界のレジェンド・岩瀬仁紀投手兼コーチ(43)だったのだ。

岩瀬は人的補償での移籍を拒否。引退をほのめかした。日本ハムはこれを受けて、人的補償を断念し、金銭補償だけにした。

人的補償はFAにともなう公式の制度であり、野球協約には
「旧球団から指名された獲得球団の選手は、その指名による移籍を拒否することはできない。当該選手が、移籍を拒否した場合は、同選手は資格停止選手となり、旧球団への補償については本条第3項(2)号又は本条第4項(2)号(いずれも金銭での補償)を準用する」

とある。これを適用すれば、岩瀬は資格停止になるはずだったが、日本ハム側が折れたのだ。

中日は大野のFA移籍に際して日本ハムにプロテクト名簿を提出した。そこから岩瀬の名前は洩れていた。
中日にしてみれば、まさか球界最年長、43歳の岩瀬を日ハムが指名するはずはないと思っていたのだろう。

しかし相手は日本ハムだ。他球団とは感覚が違う。ひょっとすると吉井理人コーチあたりが熱望したのかもしれない。投手としてだけでなく、指導者としての岩瀬を買っていたのではないか。

中日にとっては驚愕の指名だったはずだ。「まさか」という感じだっただろう。

私は2014年に引退したばかりの山﨑武司に、ナゴヤドームで話を聞いたことがある。山﨑は
「僕と(山本)昌さんは、引退時期は自分で決めろと言われていた」と言った。

中日はベテラン選手を厚遇する。厚遇し過ぎると言っても良い。中日新聞の創業家がベテラン選手をかわいがるからだ。球団は岩瀬を出したら、創業家にお目玉を食らうという気持ちも働いただろう。

岩瀬仁紀は日本ハムに行けばよかったと思う。中日とは正反対の、先進的な経営方針の球団に行けば、岩瀬は新しい経験を積んで、引退後に新しい道が開けたと思うが。

人的補償についてはNumber Webに書いた。

選手の権利としてのFAを活発にするためには、プロテクトだの人的補償だのは、ないほうが良いと思う。陰湿で、前向きではないと思う。

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