秋田商業といえば、野球マニアはすぐに赤根谷飛雄太郎を思い出すのではないか。「巨人の星」の主人公はここから来たともされるし、NPB史上最長の名前でもある。しかし、高校野球史上の名伯楽でもあった。
プロに送り込んだ人材は多くはないが、現役でいえば石川雅規がいる。

そもそも、公立の商業高校は、今では、普通科高校より偏差値が低いと思われているが、戦前は、地域経済を背負うビジネスエリートが行く学校だった。
滋賀県の八幡商業と言えば、則本昂大の出身校として有名だが、戦前は「ミスター生保」とよばれた日本生命の川瀬源太郎を輩出するなど、名門校だった。大宅壮一は「近江商人の士官学校」と呼んだ。名門会社の大番頭は、商業学校卒が勲章だったのだ、

さらに広島商業は、戦前から屈指の野球強豪校だったが、同時に勉強も出来なければ進むことができなかった。呉で生まれた鶴岡一人は、電車で1時間かかる広島市内のこの学校に通ったが、それは山口県周防大島出身で、学歴がなかったために苦労した鶴岡の父親が、野球だけではなく、学歴も身につけさせたいという親心によるものだ。この時、鶴岡が通った五番町小学校から3人が受験したが、通ったのは鶴岡だけだったという。

商業高校は昔から良質の商人を輩出した名門校だった。学的偏重社会になって、そのステイタスは相対的に低下したが、それでも「名門」というべき高校だった。

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秋田商業の教師が、入学を志望する生徒の母親に卑劣な行為をしたことに、まず衝撃を受けたが、その教師横山秀和が、2回も五輪に出場した超一流のアスリートだったことにさらに衝撃を受けた。

レスリングでも秋田商業は、太田章など一流の選手を輩出している。格闘技の桜庭和志も卒業生だ。野球と同様、名門として歴史を維持してきたのだろう。

しかしその名門が、いったい何を教えてきたのか。勝つこと、相手をねじ伏せること以外に、何を教えてきたのか、深く問われるべきだろう。

この横山という卑劣漢は、母親だけでなく受験生の娘にも、深い傷を残した。そうした事態に至ることを想像することなく、己が欲望のままに行動をした。
こんな馬鹿を生んだ、日本のレスリング、アマチュアスポーツは、この一事をもって病んでいるといってよいのではないか。

日本のスポーツは、嘉納治五郎によって始まった。とにかく「オリンピックに出場すること」を目標に、学校にスポーツクラブを作った。その結果「勝利至上主義」「エリート主義」「上下の絶対的な規律」という鉄の体制ができてしまった。
人間としての良心や、正義感、自分の力で考える聡明さ、などを置き去りにして、ただただスポーツをするだけの馬鹿を大量に生み出した。

日本のスポーツ界は、こうした人罪を生み出したことを深く恥じ入るべきである。五輪でいくつメダルを取るなどという、くだらない目標を立てる以前に「まともな人間を作る」ことを考えるべきである。
スポーツしかできない馬鹿を作るようなスポーツは、この国には必要ない。


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