これまで取り上げてきた行きがかり上、相撲の話を取り上げる。昨今の貴乃花親方の不可解な言動の背景には、春日野部屋の一件があったことが露呈した。おそらく、これは貴乃花サイドのリークだろう。

2014年に春日野部屋の力士が後輩力士に暴力をふるい、全治1年6か月の重傷を負わせる。この事件は刑事事件となり、加害者の力士に2016年6月に懲役3年、執行猶予4年の判決が出た。
この事件は、春日野親方から協会に報告されていたが、協会はこれを公表せず。
春日野親方は事件を公表しなかったことについて「加害者、被害者ともに引退しているから」と言った。

この事件は協会でも一部の人間にしか報告されていなかった。危機管理委員会の宗像紀夫前委員長は、当時報告を受けた記憶はないと語った。
要するに、これらの事実を協会は隠蔽し、闇に葬ったということだ。

貴乃花親方は、事後にこういう事件があったことを知り、遺憾に思っていた。昨年10月26日に、自分の弟子が横綱日馬富士に暴行を受ける事件が起きた時に、春日野部屋の事件の二の舞にはすまい、と思った。

同じタイミングで、昨日、貴乃花親方が昨年末に協会に提出した「貴乃花文書」が明るみになったが、これによれば協会は再三にわたり、警察に届けず内密で済ませることを貴乃花親方に要望していたが、貴乃花親方はこれを拒否している。
どこにも書かれていないが、協会側も、貴乃花側も「春日野部屋の一件」を意識していたのは間違いないだろう。

春日野部屋の一件を見ても、協会に措置を一任すれば事件はうやむやにされる。負傷した弟子は泣き寝入りになる。そうはさせじと言うことだったのだ。

春日野部屋の一件は、共同通信に通報された。被害者の元力士への取材も共同通信が行って、新聞、テレビ各局に配信された。これは貴乃花サイドが行ったことだろう。
週刊誌のような非記者クラブ系のメディアにリークしても、テレビや新聞などは、掲載を躊躇する。しかし記者クラブ系の本流ともいえる共同通信にリークすることで、テレビ各局、新聞各紙も伝える。そうした意図があったのは明らかだ。

貴乃花への処分が二階級降格で確定し、理事選挙を控えるこのタイミングに事件をリークしたのも意図的なことではあった。
しかし、そうでもしないと、相撲協会の闇は明らかにはならないということだろう。

こうなってみると、日本相撲協会評議会の無能さ、滑稽さがクローズアップされる。池坊保子議長は、春日野部屋の一件を知っていたのだろうか?
知っていたとすれば、一般常識に照らしても看過ならないことだから、貴乃花事件への対応も変わっていたと思われる。
協会は彼女ら外部委員に春日野部屋の一件を知らせず、貴乃花部屋の一件のみを表面的に報告しただけだろう。
池坊保子議長は、協会側のロールに従って処分を下したわけだ。彼女たちは、反社会的行為を容認する相撲協会のお先棒を担がされたというわけだ。

これからの展開が注目される。まともな見識の持ち主なら、池坊保子議長以下評議会の外部委員は辞任すると思うがどうか。
その上で、春日野、八角らの責任も追及されるだろう。

「はりて」「かちあげ」などどうでもいいことで目くじらを立てていた横綱審議委員会も含め、外部チェックが機能していない今の相撲協会の制度そのものも問題視される。

日刊スポーツ
林芳正文部科学相は26日の閣議後の記者会見で、大相撲春日野部屋の傷害事件を日本相撲協会が公表していなかった問題を受け、協会による相撲界の暴力行為の実態調査が必要との認識を示した。

頑迷固陋なスポーツ界の体制を変革するには、貴乃花親方のような捨て身の謀略が必要だと云事だ。

何とも重苦しい国になったものだ、日本は。

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