高校野球の改革は、今後不可避的に「球数制限」と「日程調整」の問題へと移っていくはずだ。1大会に1試合あるかないかのタイブレーク制の導入で「選手の健康に配慮した」とはとても言えないからだ。



実は「球数制限」の話は、何度も議題に上がっている。医師など専門家から指摘を受けているためだ。
しかしそのたびに「複数の投手を擁する強豪チームが有利になる」という反対の声が指導者から上がって沙汰止みになっている。選手個々の健康より「チームの有利、不利」が重要視されるアナクロニズムは、今の高校野球を象徴している。
それに高校野球はとっくに強豪私学が席巻し、予算に乏しく選手のスカウトもしない公立高校は出る幕がなくなっている。

そもそも「甲子園出場」を「看板」にする私学の存在が、高校野球を極めていびつなものにしているのは、間違いない話だ。大阪桐蔭をはじめとする有力私学は「甲子園」と「東大合格」を二枚看板にして生徒を集めている。教育というよりビジネスという方が良い状況だ。
しかし高野連は、これに強く出ることができない。

昭和の時代から地方の私学は関西を中心にした有望選手をスカウトしてきた。ダルビッシュ、田中将大などに代表されるこうした選手には返済義務のない奨学金が与えられ、寮費や小遣いまでもが支給されていた。
2007年になってこれが問題視された。高野連も重い腰を上げて調査をしたが、中途半端な決着にしかならなかった。
私学の側にも言い分がある。特待生による野球留学は、高野連がこれを黙認したことで広がった。奨励しないまでも何十年もの間認めてきた。この間に私学は、高校野球のビジネスモデルを構築したのだ。今になって問題があると言われても、引き下がることはできない。
当時、ある私学の理事長から「私学だけで別の野球全国大会を作る構想がある」と聞いた覚えがある。彼らには、高校野球ビジネスをここまで大ごとにしたのは、高野連そのものではないか、という言い分があるのだ。

「球数制限」の話も同様だ。「何十年もこれでやってきたのだから、今更何を」という強烈な反抗にあっているのだ。
「日程調整」の話も、球場の問題、プロ野球との兼ね合いなどで難航するのは必然だ。

こういう状況の中で「高校野球改革」を進めるために、朝日新聞は「世論」をさらに利用するだろう。今後、朝日新聞は「選手の健康」「教育の本分」に関する野球人や識者の声をさらに声高にアピールするだろう。「こんな有名人まで問題だと言っている」というのを後ろ盾に、話を進めようとするだろう。
しかしそれが「朝日新聞の意見」であるとは、口が腐っても言わないはずだ。それを言った途端「高校野球をここまで作り上げてきた責任」が問われかねないからだ。

IMG_3250


朝日新聞が(毎日もそうだけど)、本当にまともな言論機関として、高校野球の健全な発展を願うのなら、どうしても「自己総括」が必要になる。
自分たちが築き上げてきた高校野球の「功」と「罪」を公正な目で検証しなければならない。自分たちが高校野球人気を煽りまくったという都合の悪い部分も認めなければならない。

実は私はそのことをダメもとで、朝日新聞に提案しようと思っていた。その準備もしていたが、全く偶然に、先日「野球離れ」について、朝日系のメディアから取材を受けた。

記者は野球についてはほとんど知らないようだったが(そのことも問題だ)、「野球崩壊」は読んでいた。説明をする中で「今の野球の体質を作る上で、朝日新聞には大きな責任がある」と言った。記者は録音をしながらメモを取っていたが、そのくだりになると録音はしたが、メモを取らなかった。聞き流しているというポーズを私にはっきり示した。

実は以前にも毎日新聞の取材でそういうことがあった。

野球関係の記者でなくても、朝日系の記者はそういう習慣が身についているのだと思った。

私の認識が甘かったのだろう。朝日に提案をするのはやめようと思った。別の方法を考えるつもりだ。



「夏の甲子園」タイブレーク導入記事でわかる「だから朝日新聞は嫌われる」


片平晋作、全本塁打一覧|本塁打大全


私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!

好評発売中!