「記録を読む」ことの楽しみが凝縮されているのが、キャリアSTATSだ。私はこれを見るのも、作るのも大好きだ。無味乾燥の数字の羅列のように思われるかもしれないが、ここから野球選手の個性、そしてその選手の野球人生まで浮かび上がってくる。

昨日紹介した平野謙のキャリアSTATSを見てみよう。

Ken-Hirano


平野はドラフト外で入団した。今はドラフト外は廃止されている。当時、ドラフト外には伊東勤、秋山幸二のように「隠し球」的な逸材もいたが、平野はそうではない。今でいう「育成」に近い評価だったと言えよう。

平野は投手だったが、通用せず、すぐに外野手に。しかしファームでも通用せず、3年目にスイッチヒッターになる。3年目のオフには戦力外になりかかるが、新任の近藤貞雄監督は「見るべきものがある」として平野を残した。

翌年から平野は一軍の外野手として活躍するのだ。もう26歳、しかし平野は年齢よりも若々しく、外野守備では守備範囲の広さと肩の強さでリーグ屈指の存在となった。また打者としてはスモールボーラーだった。このキャリアからは、努力家で、苦労人の「平野謙」という選手が浮かび上がってくる。
41歳まで現役で働いたのも、苦労人ならではだろう。若いころ、不遇だっただけに試合出場のチャンスがある限り、試合に出続けたいと思ったのだろう。

その前の正田耕三はずいぶん対照的だ。

K-Shoda


社会人からドラフト2位で入団。小柄だったが守備も打撃もセンスが光っており、すぐに一軍で起用された。規定打席に達した3年目から2年連続で首位打者。
平野と同じゴールデングラブでも「やっと取れた」と「取って当然」くらいの差はあっただろう。
そして正田はまだ十分に働けるのに、若手が台頭するとともに、規定打席に達していたにもかかわらず、すぱっと引退したのだ。

叩き上げとエリート、同じスイッチヒッターでもその人生は大きく異なっている。

投手でも同じように、キャリアSTATSからいろいろなことが見えてくるのだ。

じっと数字を眺め、突出した数字が出ている部分は、その年のチームやリーグの状況を調べると、その理由がわかってくる。
平野の若い時のように「出場せず」の場合も、そこにはいろいろな事情が存在しているのだ。

そういうのを見つけるのが楽しいのだ。

兄弟サイトの「クラシックSTATS鑑賞」では、たばともさんが、キャリアSTATSよりも詳しいデータを紹介しているが、それらも、はるか昔に引退した選手がどんな選手だったかを知る重要な手掛かりになる。

普通は、「どんな選手だった?」と聞かれても、「人気があった」「よく打った」くらいしか言えないが、数字をもとにすれば、昔の選手が活き活きよみがえってくるのだ。

セイバーやスタットキャストも、そういうふうなものに使えればいいと思うのだが。

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たばともさんのクラシックSTATS鑑賞、5周年である。ぱちぱちぱち
5年目になりました


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