「この時期にこんな試合、なんでやるのかね、大事なレギュラーシーズンの前に」今朝、張本勲は侍ジャパンの試合についてこう言った。NPB各球団の本音もこれだろう。

今季はWBCもプレミア12も、その予選もない。侍ジャパントップチームの大きなイベントはない。
しかし、侍ジャパンは、試合をしなければならない。そういう事情があるのだ。

野球日本代表にプロ野球選手が参戦したのは1999年のシドニー五輪予選からだが、2013年まではイベントのたびにチームを編成し、大会に臨んでいた。
しかし2013年のWBCで3連覇を阻止されたこともあって、NPBとアマ野球は共同で常設チームとしての「侍ジャパン」を設立、ユニフォームも統一した。
また、子どもからジュニア、女性まで、プロアマを問わない、全世代、全クラスの「侍ジャパン」も設立した。「侍ジャパン」のブランドで野球の普及も目指したのだ。
侍ジャパンのトップチームの監督には小久保裕紀が就任。彼はその肩書で2017年のWBC終了まで4年間、活動した。
発足時には「13番目の球団の設立のようなもの」という説明もされた。

この背景には、NPB各球団の意向があったと考えられる。
一般社団法人日本野球機構(NPB)の決算報告である正味財産増減計算書の平成24年10月1日から平成25年9月30日までには、経常収益として以下の数字が入っている。

受取会費 1,212,600,000(一般会費252,600,000 特別会費960,000,000)

平成24年度は2012年である。これが1年後、こう変わっている。

受取会費 120,000,000(一般会費120,000,000 特別会費0)

要するに、2012年度までは12億円の会費がNPB気候に入っていたが、翌年からこれが1.2億円に減っているのだ。
会費とは、NPB機構の会員である各球団が、NPBに払った金。各球団が1億円ずつ支払っていたのが、2013年から1000万円ずつに減額されたのだ。
前年までの計算書は、今は見ることができないが、例年ずっと各球団1億円だった。

その代わり、事業収益は4,315,332,201円から、5,075,425,313円に増えている。その増額分のうち、野球運営事業収益960,000,000円は、侍ジャパンの興行収益から支払われていると思われる。2014年には侍ジャパンの運営企業としてNPBエンタープライズが設立されたが、以後はここから支払われていると考えられる。

要するに、これまで各球団が毎年支払っていた会費を減額し、その分を侍ジャパンの興行収益から支払うことにしたのだ。
1億円という金額は、年商200~500億円で経常収益が数億円あるなしの中小企業であるNPB球団にとっては大きな金額だ。これを出す代わりに侍ジャパンの興行権をNPB機構に与えて、そこで賄えという形にしたのだ。

だからNPBは、WBCなど大きなイベントがない年でも、侍ジャパンの試合を一定数行わなければならない。サッカーでいうテストマッチを組まなければならないのだ。

稲葉ジャパンは、2020年五輪や2021年WBCを目指している。そのためのテストマッチではあるが、同時にNPBの財政を維持するために、試合をしているわけでもあるのだ。

オーストラリアは毎度おなじみの顔が中心だったが、この中から近々にMLBに昇格する選手はほとんどいない。呼びやすくて値段も手事な相手ということになろう。

それでも侍ジャパンは結構苦戦していた。2-0だったが、投手はともかく、打者は先発左腕の元楽天ブラックリーには手も足も出なかった。二番手以降はぐっとレベルが下がるが、それでも2点止まり。
まだまだ調子が上がっていない。
何のためにやっているのか、目標が不明確な試合だが、お客は入っている。五輪の余韻で「日本代表」への思いれがあるからかもしれない。
各球団は「怪我をしないで返ってきてほしい」とだけ思っている。

今日の京セラドームの試合、見に行く予定だが、こういう事業運営は、あまりよくないだろう。

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