侍ジャパンが、肩身の狭い思いをしてまでこの時期に試合をするのは、第一に「NPBの収益のため」である。各球団も、自分たちの会費を削った手前「試合をするな」とは言えない。そこで、こういう形で申し訳程度に試合をしている。
それでもナゴヤドームも京セラドームもほぼ満員だ。今日の京セラドームの当日券は、外野自由席だけという盛況だ。

これは日本人が「日本頑張れ」というのが大好きな国民性を有していることが大きい。もちろん、WBCなどで「侍ジャパン」が十分に認知されていることも大きい。
それに加えて、選手たちが「侍ジャパン」に選ばれることを本当に名誉に思い、全力で頑張ることも大きい。
いわば、侍ジャパンが、12球団のよそよそしい態度にも関わらず、一定の盛り上がりを見せているのは、ファンと選手の純粋な「熱意」によるところが大きい。

しかし「侍ジャパン」は、日本野球の「希望」であるはずだ。ペナントレースよりも重視されてしかるべきだ。サッカーで、日本代表に選ばれることが選手にとって何よりの栄誉であり、各クラブも代表に選ばれた選手をバックアップしているのと比べても、侍ジャパンの扱いはあまりにも残念だ。

結局、それは機構と球団、クラブの「力関係」に帰結する。サッカーでは機構側が圧倒的な権限を持ち、サッカー界全体をリードしていくが、プロ野球では、12球団が好き勝手にビジネスをし、機構はそのおこぼれで細々と生きているに過ぎないのだ。

古い話で恐縮だが、1950年に2リーグ分立するまでは、プロ野球の興行収益は「野球機構」側にいったん入り、機構はそれを各球団に入場者数に応じて分配していた。金の流れが違っていたのだ。これによって、機構側は圧倒的な権限を得ていた。

2リーグ分立によってその仕組みがなくなった。12球団は己が利益を上げることを最優先した。その自由度を担保するために、NPB機構には権限も自由になる財源も与えなかった。
NPBはオールスターゲームと日本シリーズの収益だけで運営されていたのだ。今、球団の売り上げ規模は200億円~500億円程度だが、NPBの収益は50億円程度だ。これでは何もできない。

侍ジャパンは、本来、小中学生、高校生、大学生、社会人からトップチーム、女子までが同じユニフォームを着て世界大会を戦い、世代や性別を超えた「日本野球」として繁栄を目指すのが趣旨だった。
もちろん、そういう活動もしているが、今は、NPBの財布になけなしの金を入れることが主たる目的になっている。

12球団は2020年の東京オリンピックをにらんで、侍ジャパンにいっちょかみをしたいとは思うが、NPBに経済力を与えて、自由に活動させようとはさらさら思っていないのだ。

本来であれば、侍ジャパンは12球団と同等の重要な存在とみなされるべきだ。そしてペナントレースのスケジューリングの前後に十分な余裕をもって組み入れるべきだ。場合によっては、ペナントレースを減らしてでも試合数を割くべきだ。
そして、その収益は野球界全体として「野球離れ」対策にも使われるべきだ。

NPB球団の論理によって立てば、張本勲が「なぜ、今の時期にこんな試合をするのか」というのは、首肯できる。
しかし、高い志で設立された「侍ジャパン」が、いつの間にかおまけのようになっていることには失望を禁じ得ない。

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2017年井納翔一、全登板成績


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