3月4日の侍ジャパン対オーストラリア戦で、私はいわゆる「申告敬遠」を初めて見た。

1回表、日本の攻撃、1死二三塁で4番筒香、ここでオーストラリアベンチは敬遠を申告した。

私はほんの一瞬目を離したために、なぜ、筒香がプロテクターを外してボールボーイに渡したのかわからなかった。で、HBPとスコアブックに書いてあとから修正した。

場内アナウンスはなかったように思う。実にあっけなかった。筒香も淡々と一塁に歩いたが、明らかにこの数十秒間、試合は行われていなかった。白けたような空気が流れた。

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豪が立ち上がりから筒香を敬遠した気持ちはわかる。投打ともに劣勢であり、先制されたくないという気持ちがあったのだろう。

しかしここで、従来のようにボールを4球投げる「間」があれば、観客は「あ、相手は筒香を恐れているんだ」とか「わりとオーストラリアも本気なんだ」とかいう感慨を抱くこともできる。

しかし「申告敬遠」では、場内は何が起こったかよくわからない。少しざわついたのは「え?何?」という観客席の反応であろう。

初めて見た印象でいえば「申告敬遠」は、ボールを4つ投げる以上に、試合の緊張感を殺ぐ。しかも、球場がその意味を理解しないままに試合が流れていく危険性がある。

すでに指摘したように「申告敬遠」は、試合時間短縮にはほとんど貢献しない。このときも筒香がプロテクターやバッティンググローブを外してバットボーイに渡すまでに、それなりの時間がかかったし、一塁でコーチと少しやり取りをしたから間が開いた。

MLBの説明では、他のアメリカンスポーツの試合のテンポ、ペースに合わせる意味があるとのことだったが、こんな「死んだ間」が、観客動員にプラスになるとはとても思えない。

NPBは何も考えずにMLBの方針をまねたのだろうが、野球独特の「間」が失われたのは誠に残念だ。

後年、大人たちは「申告敬遠」の場面で、子供たちに「昔は実際にボールを4球投げたんだよ、スタンドが騒いで、なかなか面白かったんだ」と昔話をするようになるだろう。

失ったものは予想外に大きいのではないか。



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