少子化がどんどん進行する中、大学、学部の数は年々増加している。このままいけば、近い将来倒産する大学が続出すると思われる中、愚かな投資が続いている。(学校名修正)
大学、学部の数が増え、学生獲得競争が激化するとともに、受験のハードルが実質的になくなったFランと呼ばれる大学も増えた。
こうした大学では、選択するのは大学ではなく、受験生のほうだ。彼らは少しでも条件が良くて、勉強が楽そうな大学に行こうとする。
こうした受験生を惹きつけるため、大学はさまざまな魅力をアピールする。多くは学問の内容ではない。「就職率の高さ」などは、まだましなほうだろう。キャンパスの楽しさや留学等をアピールする大学も多い。
そして今、重要な「売り」になっているのが、体育会系クラブだ。
小学校から高校まで「野球離れ」が進む中で、大学の野球人口だけが増えているが、これは新興の大学が野球部を売りに、学生を受け入れているからだ。かつては大学野球部の強豪校と言えば、東京六大学、東都六大学、関西六大学などだったが、今は失礼ながら聞いたこともないような大学からドラフトでどんどんプロ入りするようになった。

野球とともにオリンピックスポーツも、学生集めの道具として利用されている。その際たるものが女子レスリングだ。
中京女子大は、栄和人監督の下、全国から有望な女子学生を集めて最強の女子レスリング部を作った。このレスリング部が、そのまま日本代表になったと言っても良い。
中京女子大は女子レスリング部が有名になったのちに至學館大学と名前を変えた。同じ地域に中京大、中京学院大と系列が違う類似の校名があったことが大きいが、女子短大のイメージの払しょくを狙ったのだろう。
女子レスリングのエースだった吉田沙保里はまだ現役だが、至學館大学の副学長になった。この学校は女子レスリング一本で、世渡りをする気なのだ。

学長の谷岡郁子は、関西では「大商大のオーナー一族」として知られる谷岡家の創業者の孫。親族が興した中京女子大の学長に32歳で収まった。
女子レスリング一本のビジネスモデルは、実質的にこの人物が推進してきた。
一昨日の会見は、教育者でも、大学経営者でもなく、今、伊調馨側と対立している栄監督の後ろ盾が発言したとみるべきだろう。

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賢い人であるならば、一方の側の人間であることをうまくオブラートに包んで「今回の事件が円満に収まってほしい、伊調さんにも榮さんにも現場に復帰してほしい」と語って、伊調サイドよりも自分たちの方が「器が上」であることをアピールする好機になったはずだが、谷岡学長は、何に怒っているのかよくわからないコメントをした。
テレビのコメンテーターが「この人は、誰かに仕えたことがない」と言っていたが、人間関係の機微や下情を理解せず、ただただ自分の周辺が非難されていることが「不愉快だ」と言いたかったようだ。一言で言えば「私を誰だと思っているの!」と言うことだろうか?

谷岡学長は日本レスリング協会の副会長になっている。これなど栄和人、吉田沙保里、伊調馨などの恩恵に他ならないが、彼女は「自分が偉かったからなった」と思っているようだ。だから栄監督にパワーがないという驚くべき発言になった。

そのことを谷岡学長に面と向かって言う人はいないだろうが、このたびの発言は、至學館大学のイメージダウンになったことだろう。嘲笑を浴びていることを、この昔のお嬢さんは理解しているのだろうか。
悪名高い加計学園もそうだが、大学の創業者一族というのは、本当に質が悪い。

嘆かわしいのは、日本のスポーツ界の中枢に、このような愚かな人間が大きな顔をして座っているということだ。
スポーツ本来の意義も、プレイヤーズファーストも全く理解せず、スポーツを自分の虚飾の道具としか見ないこの手の人物が、スポーツ界を牛耳っている限り、国民の手にスポーツが取り戻される日は来ないのだろう。




年度別チーム第1号本塁打は俺だ!・2 今は無き戦後誕生球団編



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