スポーツ界のトラブルに関する裁定や処分は額面通りには受け取れない。必ず「裏に何があるのだろう」と思うが、レスリング界の決定は、真っ当なもののように見える。

サンケイ
伊調馨選手(ALSOK)らが日本レスリング協会の栄和人選手強化本部長からパワーハラスメントを受けたとする告発状が内閣府に出された問題で、同協会は6日、調査を委託した第三者委員が、栄氏の言動の一部をパワハラと認める報告書をまとめたことを公表した。

報告書は総てを認めたわけではないが、栄本部長が「よく俺の前でレスリングができるな」と発言したこと、同年9月にモスクワで開かれた世界選手権で、伊調選手を指導していた田南部力氏に対し、伊調選手を指導しないよう圧力をかけるなど、4点の言動をパワーハラスメントと認定した。

第三者委員会は、レスリング協会の意向を忖度することなく、真っ当な発表をしたと思う。
このあと、内閣府で告発状を審議することになるのだろうが、協会側が先に白旗を上げた形だ。

一つは、栄本部長を擁護すべきサイドが、腰くだけ状態になったことが大きいだろう。当の栄氏が、事件報道があってからほとんど姿を見せない上に、極端に意気消沈しているとされ、例えパワハラが「白」と認定されても短期的な復帰が難しそうだという現実がある。

その上に、栄氏の上司、庇護者で、レスリング協会副会長でもある至学館大学の谷岡郁子会長の記者会見が、栄本部長サイドの印象を決定的に悪化させたことも大きい。
この人は、栄本部長を擁護するつもりで出てきたのだろうが、頭が悪すぎて栄氏の擁護、弁護も、疑惑の否定も何もできなかった。
世間に「こんな人がレスリング界を牛耳っているのだから、伊調馨は可哀そうだ」と思わせただけだった。彼女の愚行が告発者をさらに有利にした。

谷岡学長は第三者委員会の決定を受けて謝罪をしたようだが、おそらくレスリング協会内で「なんてことをしてくれたんだ」と非難囂々だったのだろう。栄本部長は退任を表明したが、この人は副会長を続けるのだろうか。

至学館大学は、女子レスリングで持っている大学だ。吉田沙保里を副学長にし、全国からレスリング志望者を集めるとともに、知名度を高めようとしている。あざとい商売だが、これもとん挫するのではないか。

この裁定が良かったのは、当の伊調馨が一方の当事者にならないままに決定が下ったことだ。告発者は「伊調とは無関係」を押し通した。伊調自身は事情聴取を受けたようだが、告発者として矢面に立つことはなかった。彼女のコメントは、好もしい
「日本レスリング協会がアスリートファーストの確立に尽力されることを信じており、私も協力してまいります。あらためて応援してくださっている皆さまに感謝申し上げます」

日本のスポーツ界は年功序列であり、愚かな指導者が「自分は絶対だ」と勘違いし、多くのアスリートの将来をゆがめてきた。

この事例が野球も含め、他のスポーツにも良い影響を与えてほしいと思う。

伊調馨が現役に復帰するかどうかは微妙だが、少なくとも良い指導者になるのではないか。

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