「まぐれなのか、アメリカの投手のレベルが落ちたのか、両方あると思うけども、3試合連続というのは珍しい。2試合はあるのよ」
日曜日の張本勲の発言が、週明けからの大谷の大活躍の中で波紋を呼んでいる。
張本勲は。野村克也などとともに、
「日本野球はアメリカ野球よりも優れている」という考え方の信奉者だ。
同時に
「NPBからMLBに行く選手は、恩知らずの裏切り者だ」とも思っている。

だから大谷翔平は、基本的には「恩知らず」であり、レベルの低いアメリカで活躍しても、祝福するには当たらないと思っている。少なくとも素直に認めたくはない。

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MLBとNPBの野球は、垂直の上下関係にあるわけではない。

投手でいえば、制球力やフォーク、スライダーなどの変化球の精度ではNPBの方が上かもしれない。
しかし、MLBはNPBより剛速球を投げる投手がいるし、小さく動く球の持ち主も多い。
昨年のWBCで、日本代表はアメリカ代表が繰り出す投手、とりわけセットアッパーの恐ろしく切れの良い2シームには手も足も出なかった。

打者でいえば、NPBはバットにコンタクトする能力は高いが、遠くへ飛ばす能力では話にならないほど劣っている。さらに最近は選球眼でもNPBの方が優れているとは言えない。MLBにはフリースインガーはたくさんいるが、同時に恐るべき選球眼の持ち主もいるのだ。

野手の守備では、お話にならない。NPBの内野手は人工芝での打球になれてしまったために、自然芝や土のグランドではパフォーマンスが低下する。肩も俊敏さもMLBには及ばない。

日本の野球も一部に優れたところがあるのは事実だが、アメリカと互角に戦えるレベルではないのは明らかだ。

しかし張本勲など古い野球人は、それを認めない。端的に言えば「アメリカの野球は試合には勝つかもしれないが、間違っている」と言いたいのだ。

日本では、野球とは、ボールは正面で捕るものであり、打撃は球に逆らわずミートするものであり、塁に走者が出たら送るものなのだ。
曲芸のように球を処理したり、バットを振り回したりする野球は、結果が出たとしても「間違っている」。なぜなら、飛田穂洲大先生は、そのようには教えなかったから、みたいな感じなのだ。

張本勲本人は守備が下手で、大きなあたりを狙う山っ気のある選手だったが、そういう選手も引退すれば「日本野球は」という。
日本のヒエラルキーでは頂点にたつ大OBにとって、その価値観を脅かすMLBの野球は、実力云々ではなく「否定されるべきもの」なのだ。

しかし張本など古い野球人の気持ちは揺らいでいる。

大谷翔平など、NPB育ちの選手がMLBで活躍するのは「日本野球の優秀さ」を証明している点で好もしいが、同時に「裏切者、恩知らずがMLBで活躍すると日本野球の影が薄くなる」とも思っている。

この構図は野茂英雄がMLBにわたってからずっと続いているが、大谷翔平は、最初から「MLBに行く」と宣言している怪しからん若者なのだ。しかも「二刀流」という邪道を続けている。

大谷翔平がさらに活躍すると、老人たちの発言はさらに迷走するのではないか。

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