私には「2000本まであと1本」という試合については、苦い経験が何度もある。
今からちょうど31年前の5月6日、2000本安打まであと1本に迫っていた加藤英司を見るために大阪球場に行った。加藤と言えば阪急という印象が強いが、広島、近鉄、巨人を経て南海に移籍していた。すでに往時の力はなかったが、ひとえに2000本安打を打ちたいために現役を永らえていた。
途中出場した加藤は、スイングスピードが鈍くなり、振り遅れのファウルを三塁側に何球も打った。私の頭をかすめたのもあり、恐ろしい思いをした。しかし3タコ。2000本は翌日の同じカードだった。

門田博光や新井宏昌も、それを目当てに試合を見に行ったが、2000本を打つタイミングには出くわさなかった。

今年のGWの後半は九州にいた。熊本で取材があったがそれが早く終わったので、6日はヤフオクドームに行くことにした。それを決めたのは4日だった。内川聖一はこの時点で1998安打だったから、大台突破を見ることはないだろうと思っていたが、翌日1安打に終わり、6日に大台がかかることになった。
何という幸甚。

福岡ドームは6年ぶりだ。今は外野フェンスに外野フィールドシートができた。昔のラッキーゾーンのようなもんだ。印象はずいぶん変わった。

2012年

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2018年

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それにしてもすさまじい人の波だ。恐ろしい数の人がスタジアムに詰めかける。
球場でのイベントも盛りだくさんだったが、内川聖一のことは、子どもが少し話したくらいであまり触れない。プレッシャーを与えないためにそっとしているのかとも思ったが、内川の打席のたびの声援も大きくはない。周囲のお客もあまり2000本安打について言わない。
31年前は大声援だったが、客層が変わったのかもしれない。

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この日の先発、中田賢一は素晴らしい出来だった。14三振を奪った。しかしソロホームランを4本も打たれた。特に安達の一発は、ひょろひょろっとあがった飛球が、ファウルにならず右翼最前列に飛び込んだ。大昔、大阪球場で河埜敬幸の同じような本塁打を見たのを思い出した。

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オリックスの田嶋の方がたやすく捕まりそうに見えたが。

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7回の風船はこの世の終わりのような風景だった。満員の甲子園やマツダスタジアムでもこれを見ているが、スケールが違う感じがした。

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内川は5回打席が回ってきた。9回は8番上林から。オリはクローザーの増井。上林、代打の城所と三振し、こりゃ駄目だと思ったが1番に途中から入った高田、今宮が連続安打。柳田は粘りに粘って歩く。素晴らしい連携で内川まで打席を回した。

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こんどこそ、と心が震えた。これで一発が出れば逆転サヨナラ満塁本塁打釣銭なし2000本安打、近鉄、北川博敏の代打逆転サヨナラ満塁優勝決定本塁打に匹敵するぞ、と思ったが。
内川も並々ならぬ決意のように見えた。いい当たりが右翼に飛んだがロメロのグラブに。

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いやー、世の中うまくいなかいもので、がっかりして球場を去った。内川の無念は、私などの比ではないだろう。
内川は試合前のイベントでは、子どもににこやかに話しかけていた。それどころではない状況のはずだが、いい奴だなと思った。

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チームも硬くなっていたようだが、好漢内川には頑張ってほしい。

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チーム得点・どこまで伸びる西武ライオンズ



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