大選手の域に到達した選手には、それなりの引き際がある。イチローには彼にふさわしい「辞めどき」がいくつかあったと思う。
一つは、2014年オフ、ヤンキースをFAになったタイミングだろう。すでに41歳、142試合に出場した者の規定打席に遠く及ばない385打席に終わったシーズンだ。しかしこのシーズン、イチローは2010年に10年連続3割が途切れてから最高の.284をマークしていた。その年は、オファーがなく越年したが翌2015年1月末になってマーリンズと200万ドル+出来高の1年契約を結んだ。

この2015年のオフが、次の「辞めどき」だった。153試合に出たものの打率.229、9月、10月の打率は.139にまで落ち込んだ。シーズン最終戦にイチローはマウントに上がった。全く唐突ではあったが、これがイチローの「グッドバイ」のサインかとも思った。しかしイチローは引退宣言をせず「50歳までプレーをする」と言った。チームもオフ早々にイチローと1年契約を結んだ。これは明らかにあと65本に迫った3000本安打を考えてのことだ。イチローの思いをチームも忖度した。この年の契約は2年目は球団のオプションとなっていた。

2016年8月に3000本をクリア、これは日米で大ニュースとなった。この年のオフこそが、本当の辞めどきだったが、イチローは引退を表明せず。球団はオプションを行使。打率.291をあげていたことも影響したかと思える。

2017年はほとんど代打として打席に立った。打席数はMLBのキャリア最小の215、打率は.255。チームの経営陣はデレク・ジーターなどによる投資グループに代わった。再建モードに入ったマーリンズはイチローをFAに。

イチローへのオファーは2018年になってもなかったが、3月に入ってマリナーズとの契約が決まった。マリナーズとしては外野陣に故障者が相次いだことで利用価値があると踏んだのだ。
しかしイチローの衰えは顕著だった。4人目の外野手としてもあまりにも脆弱で、戦力的価値は乏しかった。
このために、チーム内外で批判が高まっていた。しかしイチローは引退を言い出さなかった。

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殿堂入りするような大選手には「自分で辞めどきを決める」特権がいつの間にか付与される。それを行使して、スパッとやめる選手もいれば、なかなか辞め時を決めることができない選手もいる。

前者の代表がデレク・ジーターやデービッド・オルティーズだろう、ジーターは攻守ともにかなり苦しくなっていたが、批判が高まる直前の2012年シーズン前にこの年での引退を宣言した。2012年は「引退興行」となった。オルティーズも2016年に同様の宣言をしたが、この年彼は打点王を獲得している。

後者の例がイヴァン・ロドリゲスとアレックス・ロドリゲスだろう。パッジことイヴァン・ロドリゲスは、2011年オフにナショナルズをFAとなり越年したがオファーがなかったためにシーズンが始まってから引退宣言をした。A-RODは、ヤンキースと巨額の契約を結んでいたが薬物の不正使用が発覚し、2014年を全休するも、2015年に復帰、33本塁打を打ち執念を見せたが、2016年シーズンは不振が続き8月に引退宣言した。

イチローも後者の例に入る。イヴァン、アレックスの両ロドリゲスは、引退後に2人ともGM特別補佐になっている。今回のイチローの処遇は、その前例に倣ったものだろう。

しかしイチローはここまできても「引退」を口にしない。チームとしては2018年の開幕シリーズ、あるいはその前に組まれるエキシビションゲームを「引退の花道」にしたいのだと思われるが、ここまでの経緯を見ると、彼はそれでも「引退」を口にしないのではないかと思う。

この騒動で、アメリカにも「忖度」に近い気配りがあることを知った次第だが、イチローには、はっきり引導を渡すべきではないかとも思う。



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