日本大学アメフト部の内田正人監督の「謝罪」「辞意表明」を見ていてわかるのは、この人には「社会人」としての最低限の「常識」さえも欠落しているということだ。



日本のボールゲームで、トップアスリートであるだけで飯が食えるのは、野球とサッカーだけだ。バスケットボールやバレーなどにもプロリーグはあるが、経済的に十分とは言えない。
日本ではアメフトも、それだけやっていて飯が食えるスポーツではない。マイナースポーツと言ってもいい。

そういうスポーツの指導者は「競技をやめても、選手上がりが社会人として世の中を渡っていけるように」一般社会の基本を選手に教えなければならない。
私はバレーやラグビー、卓球などの指導者の取材をしたが彼らは「競技で飯が食えるわけではないので」ということを必ず言った。

当然、それを生徒に教えるマイナースポーツの指導者には、その競技だけでなく、一般社会で生きるために知恵やマナー、常識が備わっていなければならないはずだ。
しかし内田監督は、そういう「知恵」「常識」が全く欠落していたようだ。

スポーツチームで不祥事が起きた時、指導者がまず守るべきは「選手」だ。被害者を守るのは当然だが、加害者についても、チームスポーツが競技中に起こした不祥事である限り、過度の責任追及、批判が集まらないように指導者は留意しなければならない。
その次に守るべきは「チーム」だ。不祥事によって、チームが存続の危機を迎えないようにするために、指導者は適切な手を打たなければならない。
さらに言えば、チームに次いで留意すべきはそのチームが所属する組織(学校など)、そしてそのスポーツジャンルそのものだ。不祥事が大きければ、その悪影響が組織やそのスポーツジャンルにまで波及することもある。
そして最後に来るのが「指導者本人」だ。不祥事が大きければ、チームの責任者であり、選手の庇護者である指導者は、自分の身分をなげうってその保護に回らねばならない。
権限を有し、チームを統率している指導者の責任とはそういうものだ。

ビジネスの世界では、企業トップ、経営者とは、リスクを予見し、それを回避するとともに、企業の防衛、存続のために全責任をなげうつものだとされている。
言い換えれば、組織のトップはリスクヘッジのために存在していると言っても良い。

スポーツの指導者も基本的には、そういう責任を帯びている。

ここで注意すべきは「選手、チーム、組織を守る」とは、情報を隠蔽したり、責任回避をすることではない。適切に情報を開示し、認めるべき責任は認め、世間の疑念を払しょくすることだ。
実は指導者自身の「リスク」は、そうした部下や仲間、組織のために誠意をもって事に当たる中でのみ、回避される。指導者が誠実で、正直で、自己の責任を真っ先に認め、事態収拾にあたる姿を世間は見て、指導者への批判を弱めるのだ。

そうした行動を、一時も早く迅速に行うことで、リスクは最小限にすることができる。

特に現代は「劇場型社会」である。事件が起これば、世間は「悪者」と「正義の味方」を見つけたがる。そのときにおかしな対応を取ると、あっというまに「悪者」のレッテルをはられる。

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しかし内田監督は、真逆の行動をとった。選手に責任を転嫁し、チームの評判を下落させ、リーグから実質的に締め出される事態を招いた。さらに、アメフトという競技、そして日本大学という大学そものもの印象も悪化させた。
それはひとえに、この人物は「自己保身」に走ったからだ。

内田正人は、柳瀬唯夫、加計孝太郎などに続く「悪のニュースター」に躍り出てしまった。
謝罪で大学の呼び方を間違えるなど、お粗末さも露呈し、誠意のかけらもない人間のような印象もついた。

62歳になるこの人物は、これまで一度もこういうことを教わってこなかったのだろう。

内田監督は相撲部出身の田中栄壽理事長と膝附合わせて善後策を話し合ったのだろうが、その席に、日大自慢の危機管理学部の専門家は呼ばれなかったのだろう。同じく体育会系の田中理事長にも「リスク回避の常識」はそなわっていなかったのだろう。

最近では、日本相撲協会の暴力沙汰、不祥事でも、さらにさかのぼればNPBの野球賭博事件でも、組織や指導者、上に立つものが自分の責任を十分に認識せず、当事者に責任を押し付けて事件を矮小化する事件が起きている。

ビジネスの世界では一般的になっている「リスクヘッジ」の考え方が、スポーツ界にはほとんど浸透していないことを感じる。

日大アメフト部の事件がどのような経緯をたどるか知らないが、スポーツ界は「不祥事が起こった時にどうすべきか」の反面教師として、しっかり学ぶべきだろう。



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