今のエンタメやスポーツビジネスは、顧客をリピーター化し、ヘビーユーザー化することで効果的に収益を得ようとする。マーケティング的にそれは正しい。
しかしそれは「スポーツビジネス」の常道であって、「スポーツ」の目指すところとは違うのだ。

私はJリーグの「百年構想」こそは至上の理念だと思っているが、こういう言葉から成っている。

あなたの町に、緑の芝生におおわれた広場やスポーツ施設をつくること。
サッカーに限らず、あなたがやりたい競技を楽しめるスポーツクラブをつくること。
「観る」「する」「参加する」。スポーツを通して世代を超えた触れ合いの場を広げること。


Jリーグのクラブはまさにこうした環境を整備する中で成立するのだ。そのイメージは、Jのクラブを中心として、スポーツ好きの市民が緩やかなグラデーションの同心円で広がっているという感じだ。

その中心近くには、もちろんヘビーユーザー、熱心なサポーターがいるのだが、クラブは、彼らだけで成り立つわけではない。年に数試合しか見ないライトユーザー、さらには試合は見に来ないがコミュニティとしての連帯感はある程度の地域住民にも支えられている。そういう図式だろうと思うのだ。

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サッカーに「純粋にサッカーという競技が好きで、どんな試合でも楽しむことができる」ファンがどれほどいるか知らないが、結構いるのではないかと思う。

野球にもそういう「野球そのものが好きなファン」は、たくさんいる。スコアブックをつけたり、資料を調べたりするファン。ビールを飲みながらのんびりとプレーを楽しむファン。
最近の球場では、こうした普通の野球ファンの肩身が狭くなっている。数が少なくなったことも多いが、球団が「応援団」を重視し、上得意として優遇していることも大きいだろう。

特定のチームを応援するファンが「応援団」を作って、集団で応援行動をするのは、野球に関して言えばアジア圏特有の現象のようだ。台湾や韓国でもよく見られるが、アメリカ大陸ではほとんど見られない。MLBもファンクラブを設け、さまざまな特典を付けて観客を誘引しているが、組織的な応援団はMLBにはない。
NPBの応援団は、ヨーロッパサッカー、そしてJリーグのサポーターの影響を受けて組織化され、球団の管理下で大きくなっていったものと思われる。

プロ野球のファンが、応援団、ファンクラブを中心として、ヘビーユーザー化、リピーター化を進めている中で、高校野球では、アルプス席を除く甲子園の観客席にはまだ純粋に野球を見るファンがたくさんいる。捕手が内野ゴロのバックアップで一塁後方に走り、悪送球を食い止めたりすると、大きな拍手が起こるのだ。こういうファンもいるにはいるのだ。
こういうファンにとって、プロ野球はいろいろなものを我慢しながら観戦するものになろうとしている。

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結論を出す気はないのだが、読者各位はどう思われるだろうか?
サッカーについては、ここでは深める気はないが、プロ野球が観客動員を維持するために、ヘビーユーザー化が進み、応援団を核として観客席が「応援一色」に染まることは、野球の将来を考えるうえで、もろ手を挙げて良いことだと賛同できるのだろうか?
もはや、私はそういうファンを排除すべきとは思っていない。「野球離れ」が進む中で、こうしたファンは、野球のステイタスを維持するうえで重要な役割を果たしている。

しかし「野球好き」とは少し違うマインドのファンが、今後主流になって行くことに違和感を覚えているのも事実だ。

長々と書いたが、各位の意見をいただきたい。

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そういえばチーム得点ってどうなりましたかね?|51試合終了時点



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