サッカーのワールドカップが開催中だ。NHKなどは地上波でゴールデンタイムに日本以外の国同士の試合を中継している。
土曜日のフランス対オーストラリア戦はホテルでビールを片手に見た。オーストラリアと言えばいつも日本を苦しめる相手だ。動きはそれほど俊敏ではなさそうだが、背が高くて当たり負けしないごっついやつらだ。
そのオーストラリアが優勝候補のフランスと戦っている。なんとなく知り合いが戦っているような気がして、黄色いユニフォームを少し応援する心持になった。
試合は後半になってボグバの決勝点が入ってフランスが勝ったが、オーストラリアは善戦したのではないか。おそらく仏、豪両国では、多くの国民がテレビの前で一喜一憂したことだろう。

そのあとに行われたアルゼンチンとアイスランドの戦いも見ごたえがあった。人口35万人。高槻市ほどの国民しかいないアイスランドが、名だたる強国アルゼンチンと互角に渡り合い、あろうことかアイスランドのゴールキーパーは"蹴聖"メッシのペナルティキックを止めてしまった。1対1、アイスランドでは氷を溶かすような騒ぎになったのではないか。

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私はワールドカップのたびに、サッカーは世界のことばだと強く思う。どの国に行っても有名なストライカーがいて、すばらしいファンタジスタがいて、人々が熱狂するクラブチームがある。サッカーを熱く語る人々がいる。そしてサッカー選手は、サッカーという言語を駆使し、世界中にあるトップリーグのクラブチームで活躍して、巨万の富を得ることができるのだ。

日本では野球の方がサッカーよりもメジャーなスポーツではあるが、目を海外に転じれば、サッカーの豊饒さに息をのむ思いだ。

サッカーは日本で普及を図るために国内リーグのプロ化を図るとともに、ワールドカップで互角に戦えるナショナルチームの育成を目指した。「内」と「外」での強化でサッカーをメジャーなスポーツに育てたのだ。

野球は、サッカーとは比べ物にならない長いプロリーグの歴史を持ち、ナショナルパスタイムとして繁栄してきた。しかしMLBとのボーダレス化に伴って、国際化の必要性を感じ、侍ジャパンを創設し、WBCで実績を残してきた。
ただひとたび世界に打って出てみると、野球は世界では少数の人々しかやっていないマイナースポーツで、すそ野はサッカーとは比較にならない小さなものだということに気づかざるを得なかった。

アメリカやカリブ海諸国の準備が遅れたからではあるが、日本は「野球のワールドカップ」たるWBCであっさり連覇してしまうのだ。以後2大会では勝てなくなったが、それでも日本は、アメリカ、ドミニカ、べネスエラ、プエルトリコらと並ぶ世界の最強国の一つなのだ。
と、いうか、こうした国に、台湾、韓国、オーストラリア、カナダ、メキシコ、パナマあたりでしか野球は行われていないのだ。底は極めて浅いのだ。

サッカーのように35万人の小国が強大な優勝候補と互角の勝負をする、というような話はほとんどあり得ない。ジャイアントキリングは起こらない。

全世界の予選を勝ち抜いた最強豪同士の戦いであるワールドカップと、参加者十数か国の野球のWBCでは、勝負の重みが違う。優勝のありがたみが違う。
日本のマスコミはワールドカップもWBCも同様に大騒ぎをするが、ファンはその違いをよく知っているはずだ。

今年は女子野球のワールドカップが開催される。日本は6連覇中だ。優勝確実とされる、先日、橘田恵監督に話を聞いたが、彼女は「勝つことと同時に、相手にリスペクトされることが大切」と言った。

世界中にライバルや目標があるサッカーというスポーツは、何と豊穣であることか。
サッカーに比べてはるかに耕作面積が少なく、土壌も痩せている野球の世界では、日本の役割は「勝つこと」よりも「種をまくこと」、「より多くの国で野球を好きになってもらうこと」の方がはるかに大切だ。そのための努力をせねば。



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