ちょっと驚いた。
デイリー
日本レスリング協会副会長で至学館大の谷岡郁子学長(64)が報道陣の取材に応じ、レスリング女子で五輪4連覇の伊調馨(ALSOK)にパワーハラスメントを行ったことが認定された栄和人前強化本部長について、同大の監督を解任したことを発表した。
栄監督はパワハラが認定された4月に協会の強化本部長を辞任。その後は至学館大の監督として、選手たちを指導しており、この大会で“現場復帰”した。大会初日の試合前に、パワハラ認定後初めて公の場に姿を見せ、20分間の謝罪会見を行ったが、谷岡学長は栄氏の態度に不満を感じ、「謝罪会見、その後の様子を見て、まったくまだ分かっていない。反省できていない」とした。

谷岡学長は、この大会初日には栄監督と談笑している写真が撮られている。また、栄監督を復帰させた理由を記者団から聞かれて
「選手ファーストのため」と答えていた。「指導してほしい」という選手の声を受けて復帰させたと言っていたのだ。
このレスリングパワハラ事件で、最も愚かな(おもしろい)記者会見をしたのは谷岡郁子学長だ。「伊調馨さんは選手なんですか」「パワーがない栄監督にパワハラなどできるはずもない」「パワーがあるのは私だ!」と森林の王者ターザンみたいなことを言ってのけた。事態が呑み込めてないとしか思えなかった。

これまでの見方では、至學館大、谷岡学長サイドが栄監督をかばい続け、ほとぼりがさめるのを待って復帰というストーリーを描いているものと思われていた。

そして先日の栄監督の会見は、まさにそれであって、栄監督は至学館、谷岡学長の台本通りの謝罪をしたのだと思われた。20分、生中継なし、質問なしという制約まみれの会見も、栄監督個人ではなく、大学サイドの意向だと思われた。

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しかしそれから2日後、「謝罪会見、その後の様子を見て、まったくまだ分かっていない。反省できていない」という理由で栄監督は解任されたのだ。

そぞろ哀れを感じる。栄監督は、金メダリストを輩出し日本の国威発揚に多大な貢献をし、大学に金看板をもたらしたはずだった。しかし、今は「自分がしたことも理解できない愚かな指導者」として抹殺されようとしている。

栄監督が「勝利至上主義」に凝り固まった旧弊で、今の基準では正しい指導者とは言えないのは間違いないが、彼がものすごい実績を上げたことも事実だ。そして至學館大は彼の名声を利用して大学ビジネスを展開していた。彼のパワハラ指導を容認し、肥大させたのは谷岡学長をトップとする至學館大そのものだ。

しかしここに至って、彼はあっさりと捨てられた。大学側は、先日の謝罪で禊が済むと踏んでいたが、かえって火に油を注ぐ結果になったために、栄監督をトカゲのしっぽにすることにしたのだろう。この背景に、日大アメフト部の事件があると思われる。
一大学スポーツ部の不祥事だったはずが、対応が後手に回ったうえに極めて稚拙だったために、今では大学の経営トップまでが退陣を迫られている。
学生数7万人、日本一のマンモス大学の日大は、それでも持ちこたえられるかもしれないが、学生数3400人の至學館大が、同様の批判を受けてはひとたまりもない。

大学側は、自分たちに火の粉が降りかかることを恐れて、栄監督一人に責任をおっかぶせてとんずらこくことにしたのだ。

この期に及んで謝り方もわからない栄監督は哀れだが、それ以上に「反省していない」のは、谷岡郁子学長その人だ。栄監督を解任するのなら、その上司である自分も監督責任を痛感して学長やレスリング協会の職を辞するのが筋だろう。

後任監督には、副学長にもなっている吉田沙保里の名前が挙がっているという。古くて汚れてしまった広告塔を捨てて、新たな広告等を建てるというのだ。
栄監督無くしては、今の地位はなかったとされる吉田沙保里はこのオファーを受けるのだろうか。

本当に浅ましい話だ。
この騒動を見ても、一部の大学スポーツは腐りきっていることがわかる。「スポーツを食い物にした大学商売」は、一度根こそぎ掃除をすべきではないのか。そうでないと、日本の学生スポーツの将来は本当に暗い。


kouryusen




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