昨日のブログに対する反応は、予想されたものではあったが実に活発だった。SNSである有名な高校野球の指導者からも「こんな事、高校で教えておかないとあかんからね」というコメントをもらった。良識ある人は、そう思っているのだ。

高校野球の指導者は「野球部員は礼儀正しい」という。このあとに「それに引きかえサッカーは」という言葉も良く出てくる。また「高校野球では礼儀作法も教えてもらえる」という父母も多い。しかし、いい歳をした選手がインタビューで「お父さん、お母さん」というのを見てもわかる通り、今の高校野球は、礼儀作法など教えていない。

教えているのは「上下関係」だ。これによって、選手は委縮し、人を見れば頭を下げるようになる。

私はよく取材で学校を訪れるが、グランドの横を通ると面識のない野球部員が帽子を取って大声で「こんちは!」「ちわ!」と挨拶をする。彼らは私を見つけると、一瞬ためらった後に一斉に大声で挨拶するのだ。彼らの心理を描写するとこうなるだろう。
「誰だろう?知らない人だ」→「でも、監督や上の人の知り合いかもしれない」→「挨拶しなければ後で怒られるかもしれない」→「とりあえず挨拶しよう」
まともなセンサーを持った人間なら、自分の学校に見慣れない人物がやってくれば「どちら様ですか?」と聞くものだと思うが、彼らの頭にはそういうことは浮かばない。

IMG_8487


ちなみに私はそういうあいさつをされたら、負けないくらい大きな声で「こんにちわ!」という。取材の前には大声で自己紹介をし、頭を下げる。これは私の素性を自分から明らかにするとともに、自分が目上ではなく、同じ目線の人間であることをはっきり認識させたいと思うからだ。

一部の野球指導者は、年上の人、目上の人を見れば、脊髄反射的に大声を出して頭を下げるのを「礼儀作法」だと言っているのだ。恫喝し、怖れさせ、ときには殴ったり蹴ったりして従わせることを「礼儀を教える」と言っているのだ。

「礼儀作法」とは、赤の他人や別のコミュニティにいる人など、多くの人と袖すりあって生きる中で、摩擦、軋轢を生まないために発達した文化だ。その基本は、相手への思いやりであり、その裏返しとしての「謙譲」の気持ちだ。
目上の人への敬意はその重要なポイントではあるが、同輩、後輩への気配り。さらには他者、部外者への配慮も重要だ。
もし、野球指導者が本当に「礼儀作法」を教えているのなら、後輩への暴力沙汰や「ぱしり」の問題は起こらないだろう。先日も高知高校野球部で上級生が下級生に暴力をふるったことが発覚したが、こういう問題は指導者が本当の意味で「礼儀」を教えていないことに起因するだろう。

野球界は、上への絶対服従は厳しくたたき込むが、それ以外の「礼儀作法」は何も教えていない。だからいい年をして人前で「お父さん、お母さん」という選手が生まれるのだ。

もちろんこれは野球だけではない。日本の主要なスポーツでは、みんなこの手の指導をしている。
だから浅田真央など有名なアスリートも「お父さん、お母さん」という。アスリートとしては素晴らしいが、社会人としては「馬鹿同然」を作り出しているのだ。

アスリートが引退してからセカンドキャリアで苦労するのは、スポーツ以外のことを指導者から教えてもらわないからだ。
そもそも指導者からして礼儀作法も世間の常識も知らない。日大アメフト部や至学館大レスリング部の指導者を見ればそれは明らかだ。

「お父さん、お母さん」問題の根本は「社会性」だ。アスリートも一個の社会人であり、グランド、フィールドを離れれば社会にもまれて生きていかなければならない。
指導者が、本当に「教育者」であるならば、選手たちにしっかり「礼儀作法」を教えるべきだろう。ま、そのためには自分が中学生レベルの「礼儀作法」を学びなおさなければならない指導者がたくさんいそうな気がするが。

IMG_9325


kouryusen




今年度の「宇佐美式勝利打点」を調べてみました|6月10日終了時点



私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!

好評発売中!