ゴルフ界で考えさせられる事件が起こった。フィル・ミケルソンと言えはPGAツアー43勝のスーパースターだ。48歳のベテランだ。



生涯獲得賞金も8760万ドルで、タイガー・ウッズに次いで2位。
堂々たる大物選手だが、全米オープン3日目に、グリーン上で動いているボールをパターで打ち返した。もちろん反則だが、この日のグリーンのコンディションは最悪で、ボールを転がるままにしているとリカバリー不能な地点までいってしまう。そこから次打を打つより反則で2罰打を食らう方がましだと判断したのだ。

彼はプレー後、そのように説明した。
USGAのルール委員会もミケルソンの主張を認め、「2罰打のみ」を適用。そして「単にボールを打ち返しただけで重大な違反行為ではないので失格には当たらない」という裁定を下した。

しかしメディアやファンから囂々たる非難を受けて、フィル・ミケルソンは20日になって謝罪をした。

ゴルフのルールブックには「動いているボールを打った場合は2罰打」とだけ書かれている。しかし意図的に動いているボールを打つのは、ゴルフというスポーツの根幹を揺るがす行為だ。重大な違反行為として失格になる可能性もある。

f01b60148a90b59c11b7dcd344c7b1f1_m


もしミケルソンのような行為が見とがめられないのであれば、例えば池ポチャ寸前のボールや、難しいハザードに転がりそうなボールを、ゴルファーが追いかけて行って打つ行為が横行しそうだ。そうなったら、ゴルフのルールそのものが変わってしまう。
USGAがそのことを理解せず、ミケルソンに特別な罰を与えなかったことは非難に値するだろう。

これは「スポーツマンシップ」と「勝利至上主義」の葛藤の問題だ。

少しニュアンスは違うが、野球界でも「スポーツマンシップ」と「勝利至上主義」の葛藤はよく見られる。

例えば投手のコースを外れたボールを捕手がミットを動かして、ストライクゾーンであるかのように見せかけるプレー。
ストライクは、打者がバットを振らなかった投球のうち、ボールがノーバウンドでストライクゾーンを、その一部でも通過した場合に宣せられる。
ミットを動かすことは想定されていない。ペナルティはないが、野球のルールの根幹を揺るがす行為だと言えよう。しかし日本の高校野球では、普通に見られる。

また、外野への飛球を外野手がきわどくワンバウンドで捕球した際に、外野手がノーバウンドであるとアピールするプレー。
ノーバウンド、ワンバウンドは審判が判断するが、きわどいプレーであった場合、外野手のアピールがジャッジを左右する可能性もある。外野手は自分がノーバンで捕ったか、ワンバンだったかは感覚的にわかっているはずだ。ワンバウンドをノーバウンドと言うのは「虚偽」であり、スポーツマンシップにもとるが、特に日本の野球界では普通に見られる。

桑田真澄さんは私に「高校球児はなぜ、ボールをストライクのように見せようとし、ワンバウンドをノーバウンドのように見せようとするのか。ボールはボール、ワンバウンドはワンバウンドと選手は自分から進んで言うべきではないのか」と言った。
甲子園の申し子ともいうべき大選手の口からこの言葉を聞いて本当に驚いた。

特に日本では「ルールを捻じ曲げてでも勝つのは根性がある。大したものだ」という風潮がいまだにあるが「勝利至上主義の超克」こそが、今求められている。そのことを改めて思った。


IMG_1217


kouryusen



今年度の「宇佐美式勝利打点」を調べてみました|6月10日終了時点



私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!

好評発売中!