どうも、しっかり理解しておられない方がいるようなので、見方を変えて説明する。


日本の野球選手は、甲子園と言う「世界一過酷な野球」によって疲弊、消耗する。中学以下の野球も「甲子園」を目指し、同じような環境で競い合っている。
投手の中には致命的な故障をする選手もいる。そうならないまでも、肘にトミー・ジョン手術をしない限り回復不可能な損傷を負う投手もいる。そういう投手はPRP療法などの温存療法で、だましだまし投げることになる。
NPBでは現実として、ハードな起用では潰れてしまう投手が多いので、ローテの間隔を開け、ゆるやかな環境で投手を使っている。
しかしMLBは、NPBよりハードな環境のため、NPBの投手はアメリカに行くと潰れてしまうことが多い。

アメリカの野球少年は、「MLBで活躍する」ことが唯一の目標だ。そのために、リトルリーグ、ポニーリーグから学生野球まで、子供の成長曲線に沿った形でレベルを上げていく。そしてその総決算として、他のどのレベルよりも厳しい環境のMLBに挑戦する。

日本は「甲子園」という18歳まで出迎える「高いピーク」があるため、子どもは小さいころから成長曲線をはるかに上回るハードな練習をし、急速にレベルを上げていく。そのために、多くの選手が故障し、脱落していく。

IMG_0451


アメリカのドラフトが毎年、1200人もの選手を指名するのに対し、日本は90人ほどだ。同じように野球が盛んな国でありながら、プロ入りするレベルまで到達する選手の数は日米で大きく異なる。これは、日本では多くの選手、特に投手がプロ入り前に消えてしまうことを意味している。

日本の高校野球は、十代の有望な人材を大量に使い捨てしているともいえよう。

もう一つ、懸念材料を指摘すると、日本人はトミー・ジョン手術の予後が極めて悪いのだ。それは、日本人投手は靭帯だけでなく骨や軟骨などその周辺も損耗しているためだという見方も出ている。靭帯を再建する際に、穴をあける骨が細く、弱くなっているケースがある。また元の靭帯の一部を残すようなより安全な手術も日本人の場合難しい。

日本人は「鍛えれば、たくさん動かせば、その部位は強くなる」という信仰を抱いている。しかしそれは「筋肉」の話であって「骨」「靭帯」などは、過剰に使えば損耗する。
そのことを理解する指導者が少ないのだ。

減少に転じているとはいえ、これだけの競技人口があるのだ。
考えていただきたい。「甲子園」がなければ、どれだけ多くの野球少年が、野球を続けていたかを。

IMG_0130




今年度の「宇佐美式勝利打点」を調べてみました|6月24日終了時点



私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!

好評発売中!