結城海斗の16歳でのMLB挑戦についは、期待もするが、懸念も抱く。
まず一つは、彼が小学生からリトル、リトルシニアで野球をしてきたということ。

先日、リトルシニアの東京の本部で事務局長からいろいろ話を聞いた。「野球離れ」の中で、リトルシニアはいろいろな改革をしている。健康面でも、7つの連盟がそれぞれ整形外科医と契約し、肩やひじの状態をチェックしている。
また少年野球協議会は、投球過多を防ぐためにイニング制限を行っている。
昔に比べれば、飛躍的に状況は改善されている。いまだに連投や登板過多に対して何の規制も設けていない高校野球よりもかなり進んでいるとはいえる。
しかしそうであっても、リトルシニアの大会はトーナメントが中心だ。勝ち進めば過酷な状況が待っている。

IMG_6977


私が一番気がかりだったのは、16歳の結城が、すでに速球だけでなくスライダーやスプリッターを投げているということだ。
心ある野球指導者は、中学生以下の子供に速球以外の球種を投げさせることはない。特にスライダーは肘に大きな負担がかかる。
いいスライダーを投げることができれば、この世代では無敵になるが、それが将来に大きな禍根になることも多い。
こうした状況を勘案すれば、16歳の結城はすでに肩やひじに何らかの損傷を抱えている可能性があるだろう。

IMG_9852


もう一つの懸念は、結城が「英語は全然しゃべれない」と言ったことだ。中学卒業後3か月の時間があった。本気でアメリカで野球をするなら、この期間、英語の勉強をすることもできたはずだ(やっていたのかもしれないが)。
これから結城が挑戦するマイナーは、教育機関ではない。もちろん、結城のような選手は「教育リーグ」に配属されるが、そこは学校ではなく、MLBの流儀を学ぶリーグだ。語学やアメリカの文化、考え方などは学ばない。そして短期間でどんどんふるいにかけられる。

日本の野球は、上下関係が厳しく、上には絶対服従だが、アメリカは指導者に逆らってでも自分を売り込む選手が出世する。人に言われなくても自分で努力できる選手が伸びる。また指導者も投球フォームなどを指摘することはない。
異国で誰も教えてくれない環境で、彼は自分で伸びていく強いメンタリティをもっているのだろうか。
16歳はこれまでなかったが、過去にもこの手の挑戦をした高卒選手はかなりいた。しかしAAまで上がった選手は一人もいない。ルーキーでつまずき、そのまま消えていく選手が多かったのだ。

日本では目立つ素材でも、アメリカではそれほどでもない。逸材であるのは間違いないだろうが、履いて捨てるほどいるともいえるのだ。

ドミニカ共和国などのMLBアカデミーでは結城の世代の選手が学んでいるが、彼らはまさに「MLBでの競争環境」に適応するために心身を鍛えている。「甲子園」を頂点とする日本の結城が育った環境とは、天と地ほども違うのだ。

どうしても悲観的にならざるを得ない。

P3250193




2012~14年中後悠平、全登板成績



私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!

好評発売中!