ドラフト制度を骨抜きにしようという「たくらみ」は、その後もあった。裏金問題、親会社の系列企業への入社など、あの手この手のドラフト破りが横行した。しかし、それもひと段落ついている。
一つは、親会社が球団に独立採算や、別建て会計を求めるようになり、自由に裏金を仕えなくなったことがある。
「清武の乱」のあと、2001年頃まで巨人が有力選手に莫大な裏金を支払っていたことが明らかになった。また一場など大学の有名選手に各球団が「栄養費」を支払っていたことも分かった。今も皆無ではないだろうが、そういした経済的なスキャンダルは、ますます矮小化しつつある。

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一方で「どうしてもこの球団に入りたい」という選手が少なくなった。菅野智之、澤村拓一、長野久義と巨人にはそういう選手はいるが、ほとんどの選手は球団の選り好みをしなくなった。
それは、球団の経済格差が小さくなったことが大きい。昭和の時代、250万人を動員する巨人と40万人程度のパの球団では、6倍の差。待遇には雲泥の差があった。
新幹線で何回の野村克也監督が普通席だったのに対し、巨人はスコアラーでさえもグリーン席だったのだ。
しかし、今は最も観客動員が少ないロッテでも145万人、300万人超の阪神とは2倍強しか差がない。私は今、各球団の寮や二軍施設を見て回っているが、どこも立派なものだ。選手の待遇に以前ほどの大差はない。

アマチュアの選手もそのことを知っているので、どうしてもここに入りたいとは言わなくなった。これも「ドラフト制度の浸透」による変化だと言えよう。

自由枠、逆指名などのおかしな制度は、裏金問題とともに撤廃され、今のドラフト制度は健全化しつつある。NPBでは全く不完全ではあるが、FA制度もでき、入団後、選手が好きな球団に席する余地もできつつある。

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21世紀になって、選手獲得に関する大きな問題になったのが「MLBへの移籍」だ。

野茂英雄は近鉄ともめて、任意引退の扱いでMLBに移籍した。最初の契約はマイナー契約だった。
この当時まで、NPBは、MLB傘下のマイナー球団に教育目的で選手を派遣していた。この頃までの球団は「NPBの選手がMLBに移籍することなどあり得ない」と言う認識だった。これを「野球留学」といった。
しかし野茂英雄がMLBで成功し、次々と投手が海を渡る時代になり、野球留学は1997年限りで廃止された。この時期から、NPBはMLBへの人材流出を警戒し始めたのだ。

しかしNPBで年俸が高騰した選手は、NPB球団としては引き留めることは不可能だ。MLBとは絶対的な年俸の格差があるからだ。
日本を代表するエース級の投手は「日本でやることがなくなる」と、MLBに移籍するのがコースとなった。NPBは、有力選手が日本で活躍することで「元」をとり、さらにポスティング費を得ることで投資を回収するようになった。

しかしNPBを経ずにアマチュアからMLBに移籍することは、NPBに全く利益が留保されないし、そのルートが開発されれば、NPBに良い人材が入ってこないという事態になりかねない。

事実、NPBよりはるかに経済基盤が弱く、八百長事件で信用を失っている台湾プロ野球(CPBL)には、大学のトップクラスの選手はほとんど入らない。彼らはアメリカや日本に留学をする。
事情は違うが、アマから直接MLBに行くルートができてしまうと、NPBが衰退の危機に瀕する可能性があるのだ。
これは事実だ。




2012~14年中後悠平、全登板成績



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