日刊スポーツ
福島大会で女子記録員が、マウンドに上がる珍事が起きた。長沼が0-5と大沼・西会津・坂下・猪苗代・湖南の「会津西連合」に点差を広げられ、佐藤大樹投手(2年)が四球を出した直後。4回表、2死一、三塁で影山高見監督(48)が伝令を送った。白線をまたいで選手の輪に走って加わったのは、革靴にスカートの制服姿の女子だった。
またもや女性差別か、と色めきだった人もいるだろうが、そういう問題ではない。

高校野球だけでなく、野球の試合では試合が始まれば選手と審判員しかグランドに行くことはできない。もちろん、通訳や救護員は例外だ。高校野球の場合、監督や非選手のコーチ、部長もグランドに行くことはできない。

しかし一昨日の事件は、あらかじめ選手登録をしていなかった記録員がマウンドに上がって伝令をしたということだ。記録員も事前に登録をするが、記録員は選手でも審判員でもないので、グランドに出ることはできない。

こういう事態になったのは、長沼の選手登録が9人だったためだ。伝令を出そうにもベンチには誰もいない。監督や部長も伝令に行けないから、仕方なく女子記録員をだしたということだ。

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これは、今の高校野球がギリギリの状態で維持されていることを象徴的に表している。選手数が減って、余剰の人員が皆無のまま、試合をしているのだ。
対戦相手は、大沼・西会津・坂下・猪苗代・湖南の「会津西連合」と、暴走族みたいな名前になっているが、こちらは5つの学校の選手を足して何とか試合に出ているのだ。
恐らく長沼も来年度は、連合チームを組まざるを得なくなるだろう。

審判団は困惑したが、高野連は今後は、グランドにいる選手が伝令となってベンチに行くことを認めることにしたようだ。こうした事態を事前に予測して手を打てなかったのも残念だ。

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一方で福島県代表は11年連続で聖光学園が夏の甲子園に出場している。夏に聖光学園以外の高校が出場したのは2006年の光南までさかのぼらなければならない。今季も出場が確実視されている。
聖光学園は130人近い部員数を擁し、充実した練習環境下、圧倒的な戦力を有している。

9人の選手を集めることさえ難しい高校、寄せ集めの連合チームで何とか地方大会に出てくる高校がいる一方で、戦う前から「甲子園当確」がでる高校がある。
このいびつな状況を放置して「青春」だの「熱闘」だのと謳いあげるのは、偽善だと言われても仕方がないだろう。

長沼や連合チームの生徒にとっては「格差社会」を実感する良い社会勉強になっただろうが、同時に絶望を感じたはずだ。



2012~14年中後悠平、全登板成績



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