スポニチ
 右腓骨(ひこつ)骨折で戦線離脱中の阪神・糸井嘉男外野手(36)が13日の球宴第1戦で代打で登場。負傷後初めて試合出場し、早期復帰のために強行出場した舞台で、“超人的”な回復を披露した

糸井は6月30日のヤクルト戦での死球により腓骨を骨折、回復途上にはあったが常識的に考えれば出場は不可能だっただろう。
本人の意志としてオールスターに強行出場したようだが、その背景に野球協約のこの条項があったのは明らかだ。

第86条 (出場選手の自動抹消)
オールスター試合に選抜された選手が、オールスター試合出場を辞退したとき、その選手の出場選手登録は自動的に抹消され、所属球団のオールスター試合終了直後の年度連盟選手権試合が10試合を終了する翌日まで、再び出場選手登録を申請することはできない。オールスター試合前から出場登録を抹消されていた場合も同様の扱いとする。

この条項にはかつて「顕著な傷病等により出場ができないとコミッショナーが認めた場合、再登録できるまでの期間を短縮できる」という条項があったが2006年に廃止された。
恐らくは顕著な傷病等が、本当なのか、仮病なのかが見極めがつかないことに加え、これを許すと、オールスター戦への出場を渋りがちな最近の球団や選手が、制度を悪用しかねないという判断があったのだろう。

以後、オールスター戦に選ばれれば、瀕死の重傷だろうが、骨折していようが、絶対に救援に出なければならなくなった。

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オールスター・ゲームは、交流戦のスタートとともに、その価値が半減した。両リーグの真剣勝負が各3試合、計18試合もペナントレースに組み込まれている中で「真夏の球宴」は、単なるお祭り騒ぎになった。これを有意義なものにするには時期や試合内容を見直す必要があろう。
だからといって、プロ野球の重要なイベントであるオールスター戦を球団や選手が軽んじて良いわけがない。

オールスター・ゲームを球団や選手が軽んじる背景には、この試合の収益が球団に配分されないということがある。
オールスターと日本シリーズは、NPBが主催し、その収益はNPBに入るのだ。逆に言えばNPBの財布は、各球団の年会費と、オールスター、日本シリーズ、そして侍ジャパンの興行収入しかない。ペナントレースは、すべて主催球団の収益になるのだ。

オールスター戦の形骸化はNPBの屋台骨を脅かしかねない。そのこともあって、野球協約には厳しい条項があるのだ。

しかしながら、本当に負傷している選手まで強行出場させる今の86条はどう考えても異様だ。選手、球団が医師の診断書を持参し、それをNPBが適当と判断すれば出場辞退を認めるべきだろう。NPBはそのために、医師と顧問契約しても良いと思う。

糸井は事なきを得たようだが、オールスターへの強行出場が、選手生命を縮めるようなことになれば、まさに悲劇だ。



2012~14年中後悠平、全登板成績



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